敷地は郊外の区画整理された住宅街に位置している。第一種低層住居地域、建蔽率50%、容積率80%、建築協定により外壁後退距離が1m以上、階数は2階建て以下に定められているため、周辺建物は庭付き一戸建ての形態を成し、比較的ゆとりのある街区となっている。
建物は、建蔽率と外壁後退により作られる外部空間を、いかに室内へ取り込み、外部と内部を連続させるかを模索している。
建物を構成するにあたり、外部から内部へと連続する独立した壁を、各プログラムに合わせて敷地全体に配置し、それにより分節される空間に、住宅に必要な機能を持たせ、その独立壁の上に2階のボリュームを載せ、室内化することで、建物周辺に出来る外部空間を、室内へと連続させることを目論んでいる。
建物の機能は、1FにLDK、水廻り、玄関を配置し、2Fに主寝室、子供部屋、書斎を配置している。
玄関とLDKを仕切る独立壁は南側道路まで連続させることで、駐車場、アプローチ部分と、テラス、人工芝の敷かれた前庭を分節し、それぞれは玄関とアプローチ、LDKとテラス、前庭が連続する空間となってる。
西側の独立壁は、キッチンの壁面収納を配置し、そのままテラスへと連続することで、隣地からの視線を遮る機能を併せ持っている。また、アイランドキッチンが設置された壁は、リビングからキッチンへの視線を遮ると共に、そのまま外部へと連続することで、キッチンに設けられた勝手口から利用出来るサービス空間としての前庭となっている。
LDKと水廻りを仕切る壁は、トイレから洗面、浴室まで続き、建物外部まで連続することで、洗面、浴室から見える外部空間を分節し、それぞれの前庭として機能させている。
一方、独立壁の上に載せられた2階のボリュームは、プライベートな空間として、主寝室、書斎、洗面は中庭に面することで周囲からの視線を遮り、子供部屋は周辺環境に合わせて窓を配置することで、プライバシーの高い空間を実現している。
郊外のゆとりある住宅街において、独立壁により敷地全体を庭として分節化し、それぞれの庭が内部のプログラムと呼応することで、敷地に広がる庭を建物内部に取り込む一戸建て住宅が実現している。
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