敷地は閑静な住宅地にあり、長さ20m弱の竿部分をもつ旗竿敷地である。
夫婦、子供、両親、そして、高齢な祖母の7名で住む住宅である。
生活スタイルの異なる7名が仕事、子育て、個々の生活を円滑に営む事の出来る多世帯住宅が求められた。
住まい手それぞれが、自分の居場所を持ち、家族の気配を感じつつ、距離感を保ちながら、空間を共有できる住まいの実現を模索した。
建物は生活スペースを子世帯ゾーン(夫婦+子供)と親世帯ゾーン(両親+祖母)、共用部の3つのゾーンに明確に分け、
旗竿敷地の中心に設けた竿部分から連続した中庭を、3つのゾーンでコの字状に囲っている。
中庭から共用部の玄関に入ると、1Fは納戸、収納、トイレ、洗面・脱衣室、浴室のある細長い共用空間となっており、そこから、子世帯のLDK、親世帯のLKへ枝分かれする。
LDKとLKは家族のなかでもパブリックな要素が強いため、中庭に面して、木製の框戸で柔らかく仕切っている。
建具を開くと、LDK、LK、中庭が一体の大空間として広がる。
共用部の階段を上がった2Fには本棚と読書スペースのある前室に繋がり、そこから子世帯側はスタディールームを介し、寝室、子供部屋、水廻りへと繋がる。また、親世帯側は納戸、寝室、トイレへと繋がる。共用部から親世帯側、子世帯側に行く入口は、外壁から室内へと連続するタイルの壁に設けることにより、ゾーンの境界を明確にしている。
また、親世帯ゾーン、子世帯ゾーンの中庭側にはテラスとスタディルームというバッファーを設けて、開口を設置することにより、お互いのプライバシーを更に高めている。2Fから中庭側を覗くと、親世帯、子世帯のゾーンが隣家の様な距離感を保っている。
旗竿敷地の奥まった静寂さを生かし、道路から連続した中庭を囲んだ、多世代の付かず離れずの住まいが実現した。
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