敷地は小さな商店街に面しており、住宅と飲食店等が密集する。
間口5.5m、長さ18mの細長い30坪の建蔽率60%、容積率200%の小さな敷地に2世帯住宅とアトリエの大きく3つの機能が求められた。
人通りと賑わいのある小さな商店街は上方へ行く程、隣棟間に光と風をもたらす住宅地と変わらない環境となる。
30坪の小さな敷地に3つの機能特性と敷地特性を活かすことで、採光や通風等の環境、各機能、また心理的に3者を円滑に分節しつつ、ゆるやかな連続性を保つことで、お互いに広がりのある豊かな環境のあり方を模索した。
パブリックな性格のアトリエを1階、セミパブリックな2世帯のLDK等を2階、プライベートな2世帯分の寝室等を3階以降に配置し、パブリックからセミパブリック、プライベートへと上方へ向ってグラデーション的に配置している。
建蔽率60%の敷地に必要な空地の大部分を中庭として建物中央に配置することで、1階は打合せスペースと作業スペースのバッファーとして、2階以降は2世帯のバッファーとして機能しつつ、かつ採光や通風等の環境として、また活動領域として有効化している。
1階アトリエは音や振動等を考慮し、RC扁平ラーメンとして前面道路から中庭、敷地奥まで連続するように筒状に計画することで敷地を最大限に有効化している。
アトリエ上部の2階全体を中庭を含めた屋上庭園として構成し、その上に中庭を挟んで分棟化された2世帯分のペントハウスを木造トラスによって持ち上げることで、その下に2世帯分のLDK等の機能を分節配置している。
屋上庭園のような2世帯のセミパブリック空間は、隣家との間に生まれる空地へと広がり、光と風を享受し、それぞれの専用階段によって寝室等の機能が配置されたペントハウスへアクセスする。
ペントハウスは寄せ棟状のヴォリュームとして構成することで、隣家間の空地や中庭へ光と風が助長され、下階へ光と風が供給される。
小さな商店街の密集する狭小地において、求められる3つの機能をランドスケープとして断面的に構成することで、敷地全体を周辺環境も含めて立体的に有効化し、豊かな環境が実現した。
資料請求にあたっての注意事項