小さなオフィスビルの大きなリノベーションです。
コストを抑える為、最小限の操作で大きな変化を生むことがテーマとなりました。
辿り着いたのは、受付と会議室、閉じなければならない最低限の個室をフロアの中心に入子状に配置して、壁を会話が漏れないように遮音性の高い鉛で包みこむことでした。
白い箱の中で、鉛の鈍い金属の塊がオープンスペースと裏動線を連続的に分け、その質感はオフィス空間に適度な刺激と存在感(シンボリズム)を与えます。
それがこの会社の社会的立場と考えました。
①壁の仕上げに鉛を使っています。
事務所の会議室の遮音性を高めるために鉛のシートを貼りました。
②工事範囲を小さくしてコストダウンを図りました。
事務所の真ん中に受付と事務スペース、会議室を家具のように配置しました。
③外側のスペースは、既存のまま。
賃貸スペースなので、解体も簡単でコストのかからないようにしました。
笑えるくらい予算がなかったので、手を付ける最小限の範囲で最大限の効果を得られる計画に辿り着きましたが、竣工したらクライアントの本当の笑顔が見れました。
あらゆる問題に対して、最適解を提示します。
王手
将棋で一齣で王手をかけるように、事務所スペースの中央に最低限の部屋を一つ設ることが、この計画の決定的な一手になりました。
山田智子(元スタッフ)