地下1階・地上3階、計18戸の長屋形式の住宅です。
敷地は東京・目黒の閑静な高級住宅街で、小割りにされず比較的大きな区画のまま戸建てが並んでいるような場所です。隣地には昔ながらの素晴らしいマンションがあり、立派な庭を借景として利用しています。このような周りの住宅のスケールに合わせるような形で3棟の分棟形式にしました。
クライアントは不動産屋さんで、要望はできる限り戸数を多くしたいということでした。経済効率を優先させつつ、単に小割りにするだけでは住環境が貧しくなるので、開口部を最大限広くとったり、上下の抜けをつくったりすることで、狭いけれども広がりが感じられるような住戸にしています。
外周部にぐるっと「縁側」と呼ぶスペースを設け、プライバシーは確保しながら、お互いを垣間見たり、感じたりという関係性をコントロールできるようにしました。
縁側と各居室の間には、カーテン状の建具があり、ここを開閉することで外との繋がり方を変えることもできます。開放的なサンルームとして、あるいは閉じた空間にもなります。
構造は、コスト削減のために壁式構造としています。通常壁式の場合、開口部は小さくなりますが、居室を小割りにして戸境壁を背骨のような形で構造的にもたせることで、開口部を大きく開けたり、吹き抜けを作ることが可能となりました。
最大の魅力は、開放感です。縁側空間をできる限り外に近い場所にするため、最上階はトップライトを入れ、床もガラスを使って下まで光が落ちるようにしました。
各住戸面積は小さいですが、大胆に開けたトップライトと横長の窓により、窓越しの空や樹木を間近に感じることができます。
地下の空堀は日照確保と両隣の暮らしの息遣いを伝え、また地下住戸すべてを繋げる設計で、広いスペースを確保しました。
写真:中村絵
都市の中の狭小住宅において、開口部を最大限広くとったり、上下の抜けをつくったりすることで、狭いけれど広がりが感じられるような住戸にしています。
また、外周部にぐるっと縁側と呼ぶスペースを設け、プライバシーを確保しながら、お互いを垣間見たり、感じたりという関係性をコントロールできるような形にしようと考えました。
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