都市の住宅街では、物価が高いこともあり建築費用を低コストに抑えた狭小住宅など、いわゆる“ローコスト住宅”を希望する方も多いです。
そこで今回の記事では、「1,500万円」「敷地面積50平米」という条件下ではどのような家が建てられるのか、建築実例とともに解説していきます。
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狭小住宅とは?
狭小住宅(きょうしょうじゅうたく)とは、狭く小さい土地に建つ住宅です。明確な決まりはありませんが、敷地面積がおよそ15坪(≒50平米)以下の土地に建てられた住宅のことを指すことが多いです。
都市部では、15坪程度の大きさで土地が売りに出されているケースが多いです。戸建て住宅の平均的な敷地面積は30~40坪であることを考えると、小さい敷地といえるでしょう。
また、狭小住宅は延べ床面積が少なく建具も少ないため、建材費コストを抑えられます。
敷地いっぱいに住宅を建てれば、外構工事費もあまり高くなりません。
しかし、都市部では建築作業費が高くなりがちで、坪単価で考えると割高になる場合が多いでしょう。
狭小住宅、1,500万円50平米はどんな間取り?
50平米と聞くと狭くて窮屈なイメージがあるかもしれませんが、アイディア次第でゆとりのある快適な住宅はつくれます。狭い敷地を上手に利用するため、狭小住宅では縦方向に空間を活用していきます。
例えば、ロフトや吹き抜けを設けるなどアクセントのきいた設計プランが用いられます。1階部分を自転車置き場やビルトインガレージにして、屋外スペースを確保するのも良いでしょう。また、景観を楽しむため屋上を作る間取りも人気があります。
あえて、リビングや水回りにドアを付けずに段差で区切り、家の中をひとつながりにして広く感じさせるといった工夫も有効です。
空間につながりを持たせたプランは、家族の気配を感じられるため、若い世代に人気があります。
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狭小住宅、1,500万円50平米でできる建築実例
ここからは、実際に50平米の敷地に1,500万円未満で建てられた住宅を4つご紹介していきます。
部屋数も外観印象も異なる住宅なので、狭小住宅のさまざまなつくり方や可能性を感じられますよ。
隅田川沿いの3階建て狭小住宅
東京の住宅地に建てられた3階建ての一軒家です。最上階である3階のリビングにはロフトと吹き抜けがあり、天井の高さが違うリズムのある空間になっていますね。
リビングの大きな窓の外側には、目隠しの折板フェンスがあるため、道路からの視線を気にすることがありません。
風通しの良いリビングには、ロフトにある天窓からもたくさんの光が差し込みます。白と木目の色調で統一された、明るく空間の広がりを感じる都市型の住まいですね。
チンチン電車と狭小住宅
2階部分が大きく突き出した、ダイナミックな外観の3階建て住宅です。外壁に使われているガルバリウム鋼板は、安価でありながらも耐久性のある素材です。
光がたっぷり差し込む玄関ドアから中に入ると、土間が奥まで続いているため、狭さを感じさせません。温かみを感じる木目調のスケルトン階段は、インテリアの主役になっています。
ロフトからつながるバルコニーは、狭い敷地とは思えないほど広々とした空間です。玄関からリビングまで、ゆるやかに空間がつながっているので、家族の気配を感じられる住まいですね。
下馬のハウス
商店街の角地に建つ2LDKの3階建て住宅は、母子の二世帯住宅です。3階建て住宅は建築費用が高くなりがちですが、木造なら価格を抑えられます。
共有部分のリビングには造り付けの棚があるので、趣味の物をたっぷり収納できますね。
屋上のテラスは、遠くの景色を眺めたりホームパーティーをしたりといった楽しみ方ができるでしょう。
ナナツボナイエ
家の中心にある、らせん階段がシンボルとなった建築面積7坪の木造住宅です。外側の目隠しとして、工事現場で使うメッシュシートを用い、建築コストを抑えています。
広い土間のサイクルスペース、寝室、水廻りと、部屋ごとに床の高さが異なるスキップフロアの構造です。リビングの吹き抜けからは屋上テラスにつながり、明るい光が差し込みます。
壁には自転車を吊りさげて収納し、空間を最大限に活用。コンパクトにまとまった間取りの中で、趣味のものがふんだんに詰まった、宝箱のような住まいが実現していますね。
まとめ
敷地面積50平米の中で1,500万円の狭小住宅を建てるには、間取りの工夫が欠かせません。縦方向に空間を利用した、吹き抜けやロフトのある間取りが人気です。
家族構成や周辺環境、建て主の要望によって、最適な設計プランは変わるため、50平米の敷地に家を建てる場合は、施工会社や建築事務所と綿密に打ち合わせをして、理想の住まいを実現させましょう。
文:島田さわ(二級建築士)
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