多摩ニュータウンの中でも比較的新しい多摩センターエリア内の緑あふれるゆったりとした環境に建つ階段室型集合住宅の一室。3方のたくさんの窓からは木々の緑と気持ちの良い風、光がたっぷりと入り込む。
夫婦と小さな子の家族が、都心の小さな住環境から自然豊かな中で仕事場も兼ねた住まいへ暮らしを変えるために、この棟で初めての改修工事を行う住戸となった。
106m2のRC壁式構造の室内は、構造・設備・コスト、また自治組合の規約からも大きな変更はできなかった。そのため、建築の設備や仕事場としても使える機能的な解決をできるだけ少ない手数で行う必要があった。
従前の内装を取り払っても壁式構造の躯体壁はそのまま存在し、設備も機器を更新するのみとし位置の変更はしない、できない。広い面積を占める床仕上げは床の防音等級が竣工当初から確保できていたこともあり、解体せず上から新しいフローリングを貼り重ねることとした。
床下は新規に設備的なやりとりができないため、ラワン合板で覆った梁形を住戸内全体に縦横にめぐらすことでこの梁形内に電気配線を通し、建具を取り付ける手掛かりにもなるようにした。
この造られた梁形は機能的な手がかりとしての役割もあったが、その素材の存在感が広い住戸内のつながりを強く感じさせ、また梁型の示す方向性と共に、各方角からの光や風の流れをより意識できるようになったと感じている。
用途:共同住宅
延床面積:106.87m2
構造・規模:RC造4階建ての2階部分
建物竣工:1993年
改装完工:2016年
施工:古賀造
Photo:Kenta Hasegawa
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