敷地は大阪府池田市、北摂地域に位置する桜並木溢れる閑静な住宅地である。代々住み続けてきたこの場所に二世帯が暮らす住宅を計画することとなった。
施主からは完全分離型の二世帯住宅が求められた。また郊外に暮らす家族にとって必要な車の台数も多く、駐車スペースについても検討が必要となった。
必然的に大きくなりがちな建物ボリュームを抑えながら、両世帯の距離感をどう設計するかをテーマに、二世帯住宅のあり方を模索した。
そこで、LDKからなる1階ヴォリュームを共有の通り庭を挟んで両世帯それぞれ独立配置し、その上に積層するように2階ヴォリュームを架け渡した。
トンネル状に抜ける軒下空間の通り庭は両世帯を繋ぐテラスであり、時に駐車スペースとして互いに距離をとることもできる。
使い方次第で繋いだり隔てたりと距離感を変化させ、お互いの様子を感じつつも両世帯のプライバシーを確保できるように配慮した。
また、架け渡された2階は周辺住宅に馴染むよう切妻屋根とし、道路からセットバックした位置に配置することで、周囲の桜並木通りの景観に配慮した。
2階は、主にそれぞれの寝室からなるプライベートな空間である。中心にファミリールームがあり、両世帯を内部で行き来できる唯一の場所でもある。将来は子供室として分割することで、ライフスタイルの変化にも対応できるようにした。
更には、将来の世帯数の変化に伴い、片方の住戸を賃貸として貸すこともできる。
家族構成が変わるたびに建て替えを考えるのではなく、様々な住まいの在り方への変化を許容できる、そんな住宅になったのではないだろうか。
撮影:小川重雄(一部:若林秀典建築設計事務所)
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