閑静な住宅地で、近隣には親子代々住み継がれている家が点在し、まだ昔懐かしい匂いが残っている感じがする敷地である。
当初二世帯住宅で検討していたが、トータルコストの増大と生活習慣の違いから生じる不自由さから独立の狭小住宅を建築する方向に転換した経緯があるので、配置計画では母屋との独立性を保ちながらも、若干進入動線を干渉させることにより二世帯間のコミュニケーションが損なわれないように考慮した。
平面計画は、生活の中心となる居間には十分な広さと屋外的要素を加え、各個室には面積上の余裕は求める事が難しいので、収納の確保や天井高の変化等により有効スペースの確保や心理上の快適性を確保し、隠し床(写真参照)やロフト、トップライトなど狭小住宅ならではの楽しみながら生活するという気持ちを喚起させるアイデアも盛り込んでいる。
また、限られたスペースを有効に使う為に、生活に対する不要部分を削除していく行為の過程で、クライアントの生活に対する要望や、積極的に生活を楽しむ行為が明確になり、日本人が元来持っている、小さいものに対する美意識、愛着が現れている。