千葉県郊外のニュータウンに建つ夫婦と2人の子供のための住宅です。敷地はいわゆる分譲住宅地の2区画分です。商品化住宅が建ち並ぶ中で、それらに抗して建てるのではなく、半身で寄り添って建つ方法はないだろうかと考えました。敷地が2区画分であるため、1ボリュームとしてしまうとどうしてもスケールが逸脱してしまう。かと言って分棟タイプでは生活のイメージができないという。私たちはこの風景の大部分を占める商品化住宅というものから、よく目にする家型、片流れ屋根という形態、木ルーバー、四角窓をさらに分割した窓、壁紙、前面の公園と同じ外構のフェンス、などといったものを個別の凡庸な建築的要素として一旦断片化し、それらを積極的に取り込みつつ、寄せ集める際の文法をかえることで、平凡でもなく特別でもない、中庸な状態を作り出そうとしました。平面的には外向きの広い庭と別にプライベートな内向きの庭も必要としたクライアントのために、だらだらと帯状に室をつなぎながら中庭を形成し、大きく開放的な1階のパブリック空間の上に吹き抜けを介して小さな個室が乗せられている構成としました。日常をただトレースするだけでなく、かといって変化しすぎて非日常にしてしまうでもなく、日常に寄り添いながら構成や凡庸化しているありかたを一旦断片化して再構成することで変化させ、あいまいさや両義性、宙づり感を現象させることで中庸な状態とすること。日常というものが実のところ制度やしがらみに囲まれているような状態から自由を獲得する1つの方法なのではないかと思います。
・3つのボリュームによる複雑でありながら心地よい空間構成
・中庭を介して家のどこにいてもお互いの気配を感じられる
・和室の奥のサムライホールはご主人の趣味の居合いの練習場所。
吉田建築所
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