富士山を望むのどかな市街地に立地します。
今回、患者増対応や医療法改正に伴う機能拡充を目的とした増築が求められました。
「小さな街」
要望の諸室は使用者や使用時間帯が異なるため閉じた「室」として並べるのでなく、使用していないときも使用している場所と気配を感じる構成を採りました。これにより、明るさと開放感、"小さな街"のような一体感を獲得しています。
「内外二重通気層」
この建物には構造体の室外側と室内側に建物全体を覆う通気層を採りました。これは構造体を良好に保つだけでなく、通気層内の空気を下記の「開口部(穴)」を弁のように開閉して空気を循環させ、夏期、冬期、中間期、それぞれに応じた室内環境を調整可能にしています。空気抵抗をやわらげるため内外とも角を丸め、やわらかな繭のようにつくりました。
「開口部(穴)」
この建物には、床、壁、天井あらゆるところに無数の正方形の穴を開けました。これらを、"換"、"採光"、"排煙"、"避難"という法的なものだけでなく、"照明(補助でなくメイン照明)"、"音響"、"空調"、"通気"、"サーキュレーター"、"サイン"といった設備的なもの、"ピクチュアウインドウ"、"手摺窓"、"飾り"、"植栽枡"といった空間演出的なものとして複合的に用意しました。穴相互、穴とその周囲の面との違いを無くすため、大きさをそろえ内外ともに面一に納めました。
「色による空間調整、カラーセラピー効果」
高貴さと清潔感からベースカラーは白が要望でした。ここでは、ゆるやかにつながった各エリアを特徴付けるために、上記の「開口部(穴)」を用いて色(クリニックのCIカラーを採りこんだ光をベースの白の面に点描しました。この色の光は季節や時間による太陽の入射角によって刻々と表情が変化します。色の配列はそれに包まれるエリアに及ぼす色彩の心理効果を意識しました。ここでは色の輪郭がぼやけるように手の痕跡の残る特注のFRPの板を拡散板として用いました。
・いなはら建築研究室との共同設計
*印写真:DOLCE 甲斐末男氏撮影
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