祖父母が暮らしていた空き家を孫世帯が引き継ぐための改修計画です。
家族の成長が刻まれた柱、変色した柱や梁、長押や欄間、味のある照明や鏡など、祖父母や親戚が集っていた頃の雰囲気が感じられる要素を極力活用し、解体して刷新するでもなく、既存の上に仕上げを重ねて更新するでもない、改修の在り方を目指しました。
そこで、天井・壁の面材、鴨居・長押の部材を「剥がす」ように改修することを考えました。
具体的には、天井や壁の面材は、室要求に合わせて剥がすことで、空間を繋いだり、天井高さに抑揚を与えます。また、鴨居・長押の部材を剥がし、空間の境目をより曖昧にしつつ、柱を独立させることで、空間を広く見せます。
さらに剥がすことで、天井裏に隠れていた梁や間仕切り壁が付いていた柱の面、部材が接合されていたほぞ穴等、既存の仕上げと新規の仕上げとも違う表情が顕になり、つまり剥がすことで空間を調整しつつ、新旧仕上げの緩衝材となる第三の仕上を生み出すことを狙いました。
プランは、夫は日中は仕事で外出、制作活動は夜や休日が多いこと、妻は日中は家事と子育て、夜は映画鑑賞やその時々に合わせて子供とゆっくりすることから、1階は、LDKと収納、家事室をまとめ、家事動線と子育てを完結させ、2階は、制作活動ができるスタジオや録音室、家族や来客者が過ごせるホール・ライブラリー、寝室を設けて、主な制作時間である夜や休日に家族が過ごせる場として設えました。
そうすることで、家族で一緒の時間を過ごす1階、家族が存在を感じながら各々の時間を過ごす2階と、時間帯に合わせて家族の距離感が保てるようにし、制作と生活が交わるでも離れるでもなく、家の中で自然と並列して存在できるようにしました。
1.戸建リノベでも、現代的な暮らし方に合わせた設計
2.古い部材の良さや雰囲気を残しつつ、新しい素材と融合させた空間
3.断熱や耐震性能にもこだわり、快適性も向上
育児を考慮した家事動線、ライフワークの音楽制作活動等、夫婦それぞれの動きを時間ごとにどこで行うかを分析し、ほどよい距離感で過ごせるよう、プランニングしました。
戸建リノベは、既存建物の状況調査や既存建物の構造・部材の見極めが鍵になります。
既存建物の活用にお困りの方は、お気軽にご相談ください。