豊かな共用部での生活と、プライバシーを尊重した、暮らす喜びを感じる老人ホームを設計しました。
奥行きを感じさせ、自然と奥に導かれる雁行した平面、吹抜けが隣り合い層をつくり光が多方向から降りそそぐ空間構成が、心地よい場を生み出しています。更に、インテリアをつくり込む事で、情感・情緒・空間・遡及、全ての質を上げる事を試みました。
壁をずらしながら差し込んでいく造形にする事で、外部環境との接点を増やし、全ての空間に、二方向から光と風を取り込んでいます。自然の緑や空も部屋に飛び込んで来る感覚になる空間配置です。
・フィン状の壁が、空間環境をつくる
バルコニーから外部に突き出した壁をフィンと名付けました。このフィンは多くの事柄をコントロールしています。プライバシーを感じさせ・光と風を具合よく取り込み・眺望を切り取り.美しい眺めを生み出します。
・プライバシーと眺めを重視した住室
雁行(ジグザク)型の平面とバルコニーの横から突き出した壁(フィン)は、隣戸から覗かれず、気配を感じさせず、プライバシーを確保しながら、南面+東西面から光と風を取り込む、暮らしやすい住室になっています。バルコニー壁(フィン)で縁取られた眺めは、田園ビューで近隣の美しい池・田・森・空が眺められ、自然の緑と空の青が部屋の中に飛び込んできます。
・近隣の方とのコミュニケーション
各個室にはポーチと、縁側ベンチをつくりました。老人ホームの廊下は遊歩道でもあります。ちょっと座れる場所があると、あっという間に井戸端会議の場所になります。近隣の方と関わる縁側ベンチと、半プライベート空間のポーチは、コミュニティが生まれる切っ掛けになっています。
・暮らす喜びを感じる、共用部
レストラン・ラウンジ・ロビー・テラス・スパ・サロンなど、暮らしていく中で、季節を感じ、心地よく感じる情感的な共用部の設計をしました。雁行(ジグザク)型の平面が、光を複数方向から取り込み、斜めに重なったスペースが余白と余裕をつくっています。異なる情緒の空間が繋がる事で、それぞれに新鮮な場所を感じ、老人ホーム内での生活を楽しむ場を設計しています。
リゾートという名称は最初から決まっていた訳ではありませんでした。雁行型の設計提案をしたところ、リゾートホテルの様なホスピタリティを持った老人ホームにしようという運営コンセプトと名称に繋がっていきました。この建築・インテリアにそぐう、立ち居振る舞いは?接遇は?食事は?制服は? 皆が考えだし、ハードもソフトも多くの事柄が現在進行形でより良くなっています。
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