年配のご夫婦のための住宅です。
古屋が建つ敷地に初めて訪れた際、世田谷の一等地であるにも関わらず緑が豊かな、まるでお屋敷のような佇まいに驚かされました。敷地の大きさに対してご要望の建坪はゆとりのある計画であったため、いかにこの既存樹木や場の持つ雰囲気を継承しながら、落ち着いた棲家をつくることができるのかを考えました。
結果的に既存樹木の松のあいだを縫うように建物を配置し、それぞれに特色のある3 つの庭をもつコートハウスに。また、素材的にも年月を重ねるほどに味わいの増すような自然素材を積極的に取り入れました。移動するたびに庭との係わり方が変化し、さまざまな場所に「ほっ」とできる居場所のある住宅となっています。
私は普段から「そこに在るべくして在るような建築」を目指して設計したいと思っていますが、それがこれまでの設計した中でも最も色濃く反映できた住宅になったのではないでしょうか
既存樹木を可能な限り残す/それぞれ異なる性格の3つのコート(中庭)/片流れの大屋根
お屋敷のような雰囲気の古屋を建て替えるに当たり、できるだけ既存樹木を残す計画とすることを提案しました。周囲に対して建物の高さも極力抑えることにより、周辺環境になじむ、落ち着いた佇まいとすることができたのではないかと思います。
住宅はもちろん住まい手がその中で生活することを考えて設計するわけですが、同時に周辺環境にとってもより良いものとなるように計画したいと考えています。
カオル工務店(練馬区)
野村基建築構造設計