敷地周辺は住宅地の間に豊かな緑地や水辺が残るエリアで、敷地はその際にあたる斜面に位置します。3方を道に面した老朽化した擁壁で囲まれており、安全上、また道路セットバックのため擁壁と地下駐車場を更新する必要があり、地形を再編集することから住宅を計画しました。過剰な高さの擁壁を避けて、階段状の擁壁や道に面した地下室により内外で高低差を吸収することで、道へ開けた内外空間のある住宅としました。擁壁の圧迫感が軽減し、見通しが良くなり道の環境が改善するとともに、住まい手の暮らしが垣間見える住宅地らしい風景をつくっています。
内部空間は新たな地盤に沿わせて半階ずつずれた6つのフロアで構成し、高さに応じて外部との関係を変え、異なる風景が展開していきます。下層部は道にオープンにできる土間とライブラリーとしてまちとの接点となる場をつくり、中間階は風の流れにそって開口を開けたプライベートスペース、上層階は周辺の緑を望む連続する開口を設け、開放的な空間としました。
土留めとなる壁をRC造とし、それを基礎と見立てて在来木造を載せる構造とし、断熱、省エネ性能の強化によって低炭素建築物の認定を取っています。
第31回千葉県建築文化賞 住宅の部 最優秀賞受賞
中野工務店