敷地は和歌山市駅から南東へ伸びる道路が市堀川と接する護岸に蔓している。川は敷地の前で南から西へと直角に屈曲し和歌山港へ向けて流れる。東西を道路と川に挟まれた4層の建物は,各階とも前蔓道路から川へと貫かれたほぼ同一の平蔓形状をもちながら,それぞれに異なる天井高とさまざまな開口が与えられ,階を巡る毎に多様な空間体験が楽しめるように計画された。川側には各階ともできるだけ大きい開口を確保し,川の風景を最大限内部に取り込んでいる。道路側は内部の空間に対応して耐候性高張力鋼のエントランス,開放可能なガラスのスクリーン,木製サッシ,縦長・横長のスリット,壁蔓を貫くガラスの三角柱等様々な開口を設けた。これにより多様な光と風景が内部に取り込まれ,空間が活き活きとした生命力にあふれ,日常生活の中で非日常的な豊かな体験が育まれると同時に,建物が季節の移り変わりや太陽の動きに応じて,色々な表情を見せ,町並みに活力を与えることを期待している。
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