東広島市南部の山間へ新築した厨房を持つテイクアウト式の店舗。敷地は市街化調整区域内に位置するため周囲にはのどかな風景が広がり、街中よりもずっと空が大きく見える。初めて敷地を訪れた時、主役としての建築ではなく、風景や暮らしの中で黒子として佇む建築を作るべきだと考えた。外観は周辺の山並みとの調和に配慮して切妻屋根とし、外壁と屋根を素地のガルバリウム鋼板の波板で仕上げることで、時間や四季で変化する色・木々の影と緩やかに呼応させる。内部は販売スペース・トイレ・キッチンによるシンプルなプランだが、”テイクアウトのみ”という条件を活かして各々の面積を営業に支障の無いミニマムなサイズとし、それらを組み合わせた細長い長方形平面とすることで建物全体の大きさを抑えながら内外の距離を近付けている。見た目も機能も小さな建築だが、風景や生活の一部として欠かせない存在となることを願っている。
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