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記事作成・更新日: 2017年 2月24日

木のぬくもりや緑に囲まれて キャンプのように暮らしを楽しむ

街なかのYamagoya

夏は木陰で涼み、冬は薪ストーブを囲んで過ごす。アウトドア好きの家族が望んだのは、自然のリズムに合わせてスローに暮らす、山小屋のような住まい。

text_ Shiho Ikeda photograph_ Kai Nakamura

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約60坪の敷地に母家と離れが建つ。旗竿敷地のため、車の転回スペースを確保し、残った部分を建物に配分。玄関前のスペースを駐車スペース兼中庭として使えるよう芝を張り、枕木を敷いた。シンボルツリーのクスノキでツリーハウスをつくるのが敏弘さんの夢。

街なかのYamagoya

(鹿児島県鹿児島市)

設計・施工
シンケン
住人データ
夫(39歳)設計士、妻(37歳)主婦、長男(7歳)、長女(4歳)

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内装は主に国産杉のパネル材「Jパネル」と天然素材でつくられた耐力壁「モイス」。自然の力で湿度が調整され、快適な空気環境を保つ。吹き抜け部分は自然塗料で白い木地に仕上げ、優しい印象を与えた。家族とのつながりや経年変化を楽しめる住まいとなった。

南東の空に桜島を望む閑静な住宅地。庭木の緑や草花が映える杉板張りの一軒家が、ひときわ穏やかな表情を放ち佇んでいる。

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テラスに面したダイニングとキッチン。フルオープンになる2.5m幅の窓で隣家のヒノキの木を借景。カーテンを閉めなくても、緑が外からの視線を遮ってくれる。

この家の主人、山口敏弘さんは鹿児島県の住宅会社、シンケンに勤めている設計士。奥さまの友美さんと結婚してから12年間暮らした賃貸マンションを離れ、ご夫妻の生まれ故郷である場所に住まいを構えることにした。

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3階に設けた友美さんが革小物やアクセサリー制作をするための部屋。

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2階と3階を吹き抜けがつなぐ。友美さんの部屋から子ども室に目が届く。

キャンプや登山、バーベキューなど、自然の中で遊ぶことが大好きな山口さん一家。新居に望んだのは、「キャンプしているようなアウトドア気分を家で楽しみたい」ということ。さらに、キャンプ道具や趣味のバイクを収納する離れをつくること、旗竿敷地のため、車を転回させるスペースを確保することもプランに盛り込んだ。

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1階には水まわりや寝室、クローゼットなどのプライベートな空間を配置。

車の転回スペースを北側に大きく抜き取り、植栽を施して庭としても使えるようにしました。また、1年を通じた太陽の動きを分析し、母家と離れを安定した採光が得られるように、敷地に対して斜めに配置しています(敏弘さん)

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外壁は杉下見板張りで窓はすべて木製サッシ。植栽は友美さんが担当した。

中に入ると、こちらも木目を基調としたあたたかな空間が広がる。1階は寝室や水まわりなどのプライベートな機能を集約。2階のLDKは、家の中でもっとも自然との距離を近くに感じられる場所だ。隣地のヒノキの木を間近に借景する大きな窓は引き込み戸になっていて、全開にすると内と外がひとつながりになる。

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離れはバイクガレージ兼敏弘さんの隠れ部屋。キャンプ道具なども収納。

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テラスで食事を楽しむこともしばしば。足場パイプを組んでフェンスに。

離れの上につくったテラスは、家族でバーベキューを楽しむアウトドアダイニング。庭のクスノキがぴたりと寄り添い、常緑の葉が近隣からの視線を遮る。吹き抜けでつながる3階は、小屋裏のようなこもり感が心地いい子どもたちと奥さまの部屋。

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各階は階段を中心に回遊できる間取り。光や風を通し、空間も広く感じられる。

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友人を招いて大勢で楽しい時間を過ごせる中庭。クスノキが涼しい木陰をつくる。

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コンロ前の壁や収納の把手には、手入れしやすく経年変化を楽しめる真鍮を使用。

抜けのある空間と隠れ家的な落ち着けるスペースもあって、何となく気配を感じながら、あちこちで違う居心地を楽しめます(友美さん)

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板土間の玄関は自転車のメンテナンスをしたり、キャンプ道具を干したりするのに便利。壁は小柱を利用して自由に棚やカウンターをつくれる「プレイウォール」。

この家に暮らしてから、敏弘さんがいつも眺めているのが庭のクスノキだ。新芽が出て葉が大きくなっていくのを、毎朝食卓から見るのが日課なのだという。

クスノキは大木になるので、将来はツリーハウスをつくれたらいいなと思っています。伸びた枝は払って薪にしようかな?(敏弘さん)

田舎でしか味わえないような贅沢な暮らしを、アスファルトの街の中で存分に満喫している。

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ガラスケース付きの家具のようなアイランドキッチン。大きな窓越しに外の樹木の葉を近くに感じながら、テラスや3階にいる家族の気配も感じ取ることができる。

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〈物件名〉街なかのYamagoya〈所在地〉鹿児島県鹿児島市〈居住者構成〉夫婦+子供2人〈用途地域〉第一種低層住居専用地域〈建物規模〉地上3階建て〈主要構造〉木造〈敷地面積〉198.00㎡〈建築面積〉58.15㎡〈床面積〉1階48.38 ㎡、2階36.00㎡、3階29.00㎡、合計113.38㎡〈建蔽率〉29.36%(許容50%)〈容積率〉57.26%(許容80%)〈設計・施工〉シンケン〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉6ヶ月〈竣工〉2015年


※この記事はLiVES Vol.82に掲載されたものを転載しています。

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