夏は木陰で涼み、冬は薪ストーブを囲んで過ごす。アウトドア好きの家族が望んだのは、自然のリズムに合わせてスローに暮らす、山小屋のような住まい。
text_ Shiho Ikeda photograph_ Kai Nakamura
街なかのYamagoya
(鹿児島県鹿児島市)
- 設計・施工
- シンケン
- 住人データ
- 夫(39歳)設計士、妻(37歳)主婦、長男(7歳)、長女(4歳)
南東の空に桜島を望む閑静な住宅地。庭木の緑や草花が映える杉板張りの一軒家が、ひときわ穏やかな表情を放ち佇んでいる。
この家の主人、山口敏弘さんは鹿児島県の住宅会社、シンケンに勤めている設計士。奥さまの友美さんと結婚してから12年間暮らした賃貸マンションを離れ、ご夫妻の生まれ故郷である場所に住まいを構えることにした。
キャンプや登山、バーベキューなど、自然の中で遊ぶことが大好きな山口さん一家。新居に望んだのは、「キャンプしているようなアウトドア気分を家で楽しみたい」ということ。さらに、キャンプ道具や趣味のバイクを収納する離れをつくること、旗竿敷地のため、車を転回させるスペースを確保することもプランに盛り込んだ。
車の転回スペースを北側に大きく抜き取り、植栽を施して庭としても使えるようにしました。また、1年を通じた太陽の動きを分析し、母家と離れを安定した採光が得られるように、敷地に対して斜めに配置しています(敏弘さん)
中に入ると、こちらも木目を基調としたあたたかな空間が広がる。1階は寝室や水まわりなどのプライベートな機能を集約。2階のLDKは、家の中でもっとも自然との距離を近くに感じられる場所だ。隣地のヒノキの木を間近に借景する大きな窓は引き込み戸になっていて、全開にすると内と外がひとつながりになる。
離れの上につくったテラスは、家族でバーベキューを楽しむアウトドアダイニング。庭のクスノキがぴたりと寄り添い、常緑の葉が近隣からの視線を遮る。吹き抜けでつながる3階は、小屋裏のようなこもり感が心地いい子どもたちと奥さまの部屋。
抜けのある空間と隠れ家的な落ち着けるスペースもあって、何となく気配を感じながら、あちこちで違う居心地を楽しめます(友美さん)
この家に暮らしてから、敏弘さんがいつも眺めているのが庭のクスノキだ。新芽が出て葉が大きくなっていくのを、毎朝食卓から見るのが日課なのだという。
クスノキは大木になるので、将来はツリーハウスをつくれたらいいなと思っています。伸びた枝は払って薪にしようかな?(敏弘さん)
田舎でしか味わえないような贅沢な暮らしを、アスファルトの街の中で存分に満喫している。
専門家プロフィール
1975年 鹿児島県生まれ。一級建築士。大学卒業後、株式会社シンケン入社。現場監理、営業を経て、2008年よりプランナーとして設計室勤務。
シンケン
- 住所
- 鹿児島県鹿児島市下荒田4・49・22
- TEL
- 099・286・0088
- FAX
- 099・259・8088
- info@sinkenstyle.co.jp
- URL
- www.sinkenstyle.co.jp
〈物件名〉街なかのYamagoya〈所在地〉鹿児島県鹿児島市〈居住者構成〉夫婦+子供2人〈用途地域〉第一種低層住居専用地域〈建物規模〉地上3階建て〈主要構造〉木造〈敷地面積〉198.00㎡〈建築面積〉58.15㎡〈床面積〉1階48.38 ㎡、2階36.00㎡、3階29.00㎡、合計113.38㎡〈建蔽率〉29.36%(許容50%)〈容積率〉57.26%(許容80%)〈設計・施工〉シンケン〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉6ヶ月〈竣工〉2015年
※この記事はLiVES Vol.82に掲載されたものを転載しています。
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