長い敷地に建つ専用住宅。
敷地形状をとらえ、長手方向に連なる空間を柔らかく分節することで、開放感と落ち着きの両立する建築空間をめざす。
1階に寝室・水廻り等、個室を集中。敷地にそって延びる建物のボリュームの途中に、中庭や光庭を設けることで、各室に光・風を導いた。
一方2階は、南側に壁で囲まれたデッキテラスを配し、そのテラスに向かって、吹抜のLDを開放的に連続させた。この長手に連なる大きな空間の中で、光庭がつくる壁の凹凸や、柱や梁の架構、キッチンの腰壁等が、柔らかな区切り=層となり、いくつかの空間単位が生まれる。外壁によって「守られた」テラスに向けて、大空間を「開き」、その中に「守られた」身近な小空間を生み出すことで、「守る」空間特性と「開く」空間特性を多重に構成。このことで、開放感の中に奥行や落ち着きの感じられる住空間を生み出した。
この奥行きある空間に対して、片流れ屋根の上方から、光を導き入れることで、限られた広さを越えて、意識が空へと誘われる建築空間になればと願っている。
掲載誌
「東京生活」9月号
(エイ出版, 2006.8.15発行) 書斎特集
住まいの総合サイト「住宅サーチ」
(日本経済新聞社)
「建築ジャーナル2007年4月号」
(建築ジャーナル 2007年4/1発売)