2007年登場以来、四角い家の先駆けとして日本中で愛され続けている「casa cube」は、株式会社カーサ・プロジェクトが展開する住宅シリーズ「casa」のひとつで、真四角で窓のない外観が特徴。外とつながっていながらも、プライベートが守られた空間が広がります。
たとえば、プライベートバルコニーは夜は友人たちとパーティーを、暑い日には、ビニールプールを広げて子どもたちの遊び場にも。お布団や洗濯物を干したりしても外から見られることもなく、実用的につかうことができるのです。
今回は、そうした「casa cube」のプライバシー面の配慮が気に入ったと話す森さん夫妻に、家を建てるまでのストーリーと住み心地を聞きました。
【家づくりのデータ】
所在地:神奈川県茅ヶ崎市
家族構成:夫婦・娘 3人
条件と好みが偶然ぴったり
長野から茅ヶ崎へと引っ越してくることになった森さん一家が新居を構えることになったのは、もともとは奥さまのおじさんの所有地で、茅ヶ崎駅からほど近い「旗竿地」。さあどんな家にしようかと調べたご主人がインターネットでみて気に入ってしまったのが、「casa cube」でした。
最初に気に入ったのはこの四角い形です。このシンプルな外観は人とかぶらないかなと思って。このカタチも窓がないところも含めて外観すべてが気に入りました(ご主人)
「casa cube」の基本的なコンセプトは、「窓がない家」。日本では南向き信仰が強いですが、住宅密集地では大きな窓をつけても隣家の視線があるため目隠しをしてしまうことが多いこと、また、窓のもうひとつの目的は採光ですが、天井から光を入れることで隣家の視線も気にならず、東西南北もなくなります。
大きな窓がある家だと、隣の家から見られたりするので、結局カーテンを閉めきってしまったりして窓の意味がないと思ったんです。casa cubeだったら窓が狭くても採光も十分だし、防犯上も、子どもと妻の2人だけでも安全かなと感じました(ご主人)
「casa cube」の正面には、玄関のみ。それ以外の面にあるのもスリット状の窓だけですが、内部は吹き抜け構造になっていて、そこに天窓から光が降り注ぎ、十分な採光がとれます。奥さまも窓がない家の「明るさ」が気になっていましたが、実際に見学してその不安は払拭されたと言います。
家が密集しているので、窓からは陽の光が入りづらいかなと思っていました。展示会で中を見せていただいた時に、吹き抜けやトップライトがあることでこんなにも明るいんだと感じて、こんな家が建ったらいいなと思いました。実際に住んでみて一番気に入ったのも、明るいところです。
以前の家は平屋だったので吹き抜けに憧れがありましたし、娘もずっと階段がほしいと言っていて。引っ越してきた当初は、階段を上ったり下りたりして楽しんでいました(奥さま)
外見のデザインに惹かれて検討することになったcasa cubeでしたが、実は旗竿地かつ住宅密集地という、周囲を家に囲まれた土地の条件にピッタリの建物でした。しかも、「取り扱っている工務店さんがすぐ近くにあった」という幸運が重なって、森さん一家は理想の家を手に入れることができたのです。
家は箱、こだわりは内部にも
家の住みやすさを決めるのは、もちろん建物のつくりだけではありません。空間の間取りやデザインにもこだわりたいポイントが人それぞれあるはずです。casa cubeのもうひとつの大きな特徴は、空間のデザインの自由さにあります。
家というのは箱に過ぎなくて、中のデザインをどうするかは住む人の自由。casa cubeはシンプルな箱なので、住む人の感性を暮らしに活かすことができるのです。
casa cubeは、空間をいくつかのスペースに区切り、ここはリビング、ここはダイニング、ここは個室、ここはフリースペースというように決めています。とは言え、スペースの使い方は自由で、フリースペースに仕切りを付けて部屋にしたり、収納をつくったり、壁に家具をつくりつけたりすることも自由にできます。
ご主人は、2階のフリースペースをCDや本が並ぶ、自分がくつろぐためのスペースにしました。スピーカーから好きな音楽を流しながら読書をしたり、時折パソコンに向かったりするのだそう。恥ずかしがってあまり自分のこだわりを口にしないご主人ですが、家での一番好きな過ごし方について聞くと、こんな答えが帰ってきました。
私にとっては上のスペースで椅子に座って音楽を聞いたり本を読むのが一番の時間です。音の反響もいいし、防音もしっかりしているので、音楽を楽しむにはいいと思います(ご主人)
2階のフリースペースは、階段を上ってすぐ、吹き抜けの上にあるのでかなり開放感があります。その開放感はそのままに、壁面に棚と机をつくりつけ、オープンだけれどくつろげるスペースに。娘さんは、ここに置かれたハンモックでよく絵本を読んでいるのだとか。
また、1階にも壁面の家具があり、リビングにはテレビ台と、娘さんの勉強机兼作業台をつくりました。
テレビボードや机をつくりたくて、工務店さんにお話したら「できますよ」と言われて。こんな感じはどうかとデザインを提案してくれたので、イメージがつきました(奥さま)
じつは、これも窓がないメリットのひとつ。大きい窓をつくるとどうしても壁面が少なくなり、家具を置く場所がなくなりますが、casa cubeの場合は、ほぼ全面が壁なので好きなところに好きな家具を配置することができます。つまり、自分たちが望む空間をつくるための制約が少ないのです。
森さんたちは、ほかにも床材を無垢にしたり、階段の骨組みのデザインを変更したりと、自分たちらしい空間にこだわりました。
自分のこだわりについて話すのって恥ずかしいですね。建売りのように画一的に決まっているのではなくて、希望が入れられるといいなとは思ってました。自分の好きな要素を入れられて、家づくりが楽しかったです(ご主人)
私も娘もモノをつくるのが好きなので、私はダイニングのテーブルで、娘は自分の机で集中して何かをつくっていたりして、そうやって娘と一緒の空間にいるのが一番いい時間ですね(奥さま)
家の中に自分らしく過ごせるスペースがあることは、暮らしを豊かにしてくれます。休日は家の中でのんびり過ごすことが多いという森さん一家にとって、自分の好きなことに集中できるスペースが暮らしの豊かさの源泉なのかもしれません。
条件の厳しい土地でも建てられるから、暮らしたい場所で暮らせる
森さん一家は休日は家でのんびりとすごすと言いますが、casa cubeを選ぶ人たちはどのような人たちなのでしょうか。
「家はこうあるべき」という従来の考え方の延長で家を考えるのではなく、「どうして家ってこうじゃないんだろう?」と疑問を持ったり想像したりする、つまり家に対する感度が高く、固定観念に縛られない人に選ばれるというcasa cube。
じつは「真四角総2階建て」の家は、屋根の量も少なく、基礎の量も少なくて済むことから、ローコストで実現できる上、1階と2階で形を変えたりベランダをつくったりすると構造的に弱くなる部分ができるので、理にかなった家であるということができます。さらに窓がないことで強度も高まり、断熱の効率も向上するというメリットもあるのです。
奥さまも「家中がすぐ温まる」と言っていて、断熱の効果は実感しているよう。スペース利用の点でも「収納が意外としっかりとあって、そのへんにモノが溢れないのもいい」(ご主人)、「家事などの導線的にもすごく動きやすい」(奥さま)と快適な空間をつくれているようです。
じつは、この空間効率も窓がない利点の一つで、採光のため南側を空ける必要がないため、制限のギリギリまで土地を利用できるのだそう。そしてこれが旗竿地に限らず南側が開けていない土地に「casa cube」が適している理由で、同時に土地の価格が相対的に安い場所でも快適な暮らしが手に入れられるというわけです。
さらには、自分が暮らしたいと思える場所、地域に暮らしやすくなるということでもあります。森さん一家は、茅ヶ崎での暮らしをどう楽しんでいるのでしょうか。
海は好きなので、海沿いをジョギングしたりしています。通勤もサイクルロードを使って片道5キロくらい自転車で通っています。ちょうどいい運動になるし、海沿いの道は走っていて気持ちがいいですね(ご主人)
直売所とか、地元でつくられた野菜を買いに行くのが好きで、マルシェなどにも行きます。お花ももっと植えたいですね(奥さま)
今回の取材で感じたことは、家に対する固定観念を取り払えば、場所と土地と暮らし方という3つの条件を満たすことができる家に出合うことができるということ。森さん一家の場合は、すぐに理想の家に出会うという運も味方したわけですが、気持ちがいいと感じるポイント、譲れないと感じるポイントを大切にしていけば、その家族なりの答えにたどり着けるのではないでしょうか。
窓もベランダもないシンプルな四角い家「casa cube」。究極なシンプルの中にも個性を出せる空間は、住まいづくりを楽しくしてくれそうです。
ちなみに、「窓もベランダもないシンプルな四角い家」は規格住宅のオンラインマーケット「スマートメイド住宅」でも取り扱いがあります。躯体や外観、間取り、インテリア、エクステリアを好きに選んで、自分の好みにぴったりとフィットする家づくりを楽しんでみませんか。
casacube_SuMiKaマガジン from casaproject on Vimeo.
「casa cube」について詳しくはこちら
http://www.casacube.com/
規格住宅のオンラインマーケット「スマートメイド住宅」で「casa cube」を選ぶことができます
https://sumika.me/smartmade
text:石村研二 photo:東涌宏和