水族館でガラス越しに海の中を再現した水槽を見ていると、
大きく開かれた場所、岩や植物の陰、洞窟のような穴など、
多様な性質をもつ場所が区切りのないスペースの中に混在している。
それは上部の水面に向かって開かれて明るくなっていき、
魚たちはそれぞれの階層でその場所に適した活動を行いながら往来している。
複層にすることが成立条件となるような都市型の住居で、
こうした水面下のようなスペースを展開できれば、
窮屈さを感じない大らかな居住の場ができるのではと考えた。
実際の建築内部に身を置くと水面下の様に
性質の異なる各階層のスペースが区切りなく繋がっていて、
上部から底まで差し込む光に誘われ上へ上っていくと、
四周の壁に囲まれ上部だけが開かれた半外部的なスペースへ到達する。
その上部に開かれた壁の上端が水中から見上げる水面のようで
最も開かれたゾーンにいることを感じる。
地上から離れていくほど外部に近付いていくような住宅建築である。
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