もともと三軒長屋が建っていた場所で、間口が狭く奥行きがある細長い形をした敷地です。それほど広さに余裕はありませんが、南側に隣家の大きな庭が広がる気持ちのよい場所です。建物は周辺環境へ溶け込むようにと高さを抑え、地下1階、地上2階の木造3階建の構造にしました。プランは敷地同様に細長く、南側を少し台形のような形にしてあります。台形にすることで、わずかですが敷地内に坪庭くらいの小さな庭を確保でき、その先の隣家の大きな庭へと繋がっていくようなイメージがもてます。手に触れることのできる家族の庭と、その先の借景として眺める庭。敷地の境界線を越えた広がりを感じる家になればと願いをこめました。
1.人の手が触れるところは、手触りの良い材料を使っています。珪藻土の壁、木の手すり、無垢の床。使うほど成熟して良くなる家です。
2.都心は地価が高いです。小さな土地を購入して、そこに最大のボリュームを建てれば、十分豊かな住まいが実現します。
3.既製品の建具やキッチン、ユニットバスを使っていません。すべて図面を描いて、木工作家さんにつくってもらいました。