築34年の木造の家をリノベーション。「長い年月の間についた傷や汚れは、新たに作り出しようがない家の記憶」。傷や汚れを否定的にとらえない作り方を実践。
いったん全ての内壁と床を剥がし耐震補強を施し、傷んでいるところや施工当初の不具合を是正。断熱材も長期優良住宅仕様で充填。プランは既存からあまり大きく変更することなく、しかしここを変えれば劇的に変わるというところには変化を加える。更に減築し建物を縮小させ、構造的負担を軽くした(掃除を含めたメンテナンス範囲も減少)。設備もローコストながら一新。ガス式床暖房も新設。バリアフリーの要素も加えた。手のかけ方も解体してわかった現場の現況と現場予算をふまえて加減をしながら進めた。
ローコストを前提にして進めたこの工事は、壁の珪藻土塗りや外部の木部のペイントをセルフビルドにて行った。財布に優しく、手の跡が残り、記憶にも残る。
バリアフリーや耐震改修にかかわる工事への公的な補助金、エコポイントも獲得でき、財政的にも優しい改修工事になった。小さな工務店と設計事務所のタッグによる、設計費を除く総事業費はunder 1000万円!ハウスメーカーやパワービルダーのように事業費の何割もが営業費や広告費に消える金額は我々にはありません。