熊本県人吉市に建つこの住宅は、3年前同市に竣工した“人吉の舎”(以下?氈jを新聞紙上で見た施主の依頼により計画が始まった。
同じ地域、同世代、また偶然にもお互い顔見知りであったということもあってか、?氓ナの設計方針に共感して頂いた様であった。本計画では、nLDKという間取りの拒否から始まったその方針をさらに発展させるながら、?氓ニは異なる空間構成、形状を目指している。
1〜2階を通して、浴室、納戸、トイレ等を除いて一つの繋がった大きな空間を形成しているが、大きく二つの広間に分けられ、広間1(1階部分)は土間を持つ台所、玄関ホールそして川沿いの外部デッキへと繋がる板張りの部分で構成され、可能な限り広く開けられた開口部とともに、より外への意識が強調された場となっている。また大きく湾曲した床(舟底天井)を持つ広間? (2階部分)は、グランドレベルからの遊離を強調するため、1階軸線と直行する形でRC造の壁柱で持ち上げられており、結果、より内部化された場が形成されている。広間1と広間2とは中央に設けられた階段で繋がっているが、それぞれの場の違いから、岸壁から船にの入り込む桟橋の役割を果たしているようでもある。
若い家族段階の場合、現時点で計画すべきことは、柔らかな差異を持った大きな空間だけを用意し、将来家族の成長と共に変化し、細分化された部屋が必要となった時のその繋がりのみを設定する事と考えている。本計画の場合、部屋の当面の間仕切として利用する予定であった数種類の移動家具群が予算の都合上中止になったため、まさにこの住宅の起源としての状態からの出発となった。
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