水田に囲まれた三角屋根の一軒家。自然環境の恵みを取り入れ、
シンボルツリーを眺めながら、家族と木が一緒に成長していく。
text_ Yasuko Murata photograph_ Osamu Kurihara
4+1HOUSE
- 設計・施工
- ヨネダ設計舎
- 住人データ
-
雅樹さん(34歳)建築家、絵理さん(38歳)会社員、
長男(10歳)、次男(6歳)
家の中心にあるシンボルツリーは高さ7 .5mのアオダモ。屋根まで吹き抜けとなった空間にゆったりと枝を伸ばし、新緑の葉が生い茂っている。屋根には木に光や雨を届けるトップライトもある。
余白をたくさん設け、木が遠慮することなくのびのびと育っていく家にしたかったんです。木が成長していくごとに、子どもたちも育ち、暮らしと混ざり合っていくような空間をつくりたいと思いました。
そう話すのは三重県で建築家として活動する米田雅樹さん。奥さまと2人の息子さんとの4人家族で、9月には第3子が生まれる。
木の周りを囲むように、階段や廊下が3階まで続き、1階にキッチン、ダイニング、図書室、リビング、和室、2階に寝室と水まわり、3階に子ども室とアトリエなどを配置。2階の廊下には、木の下で本が読める第2の図書室もある。すべての空間から木を眺めることができ、1階の居室はガラスの引戸で仕切り、寝室やアトリエには室内窓を設け、木と空間をつないでいる。
引戸や窓を開ければ木と一体となった大空間となり、開放的に暮らすことができます。(雅樹さん)
さらに、この家の周囲は見渡す限りの水田で囲まれ、風がよく抜ける。外からの風を家の中に取り込むため、季節ごとの風向きを調べ、夏に吹く東南の風に合わせ、東側と南側に大きな開口部をつくり、エキスパンドメタルをはめ込んだ。
水田の上を通ってきた風は冷たく、室温を下げてくれます。外から入ってきた風が、アオダモの葉をサラサラとゆらし、抜けていく様子が涼しげで心地いい。夏はエアコンも必要ありません。(雅樹さん)
1階は木が植わっている土をそのまま見せ、コンクリートタイルで囲っている。土の部分には、小さな草花が数株植わっている程度だ。
中庭ではなく室内っぽさを残したいので、木の周囲にグリーンを増やすより、家具を置くなどして、リビングのような空間にしていきたい。外と内が曖昧につながっている居心地が好きなんです。(雅樹さん)
1階から居室を見渡すと、ガラス戸のダイニングや小屋風のアトリエなどが、町に並ぶ小さな家のようにも見え、屋外にいる感覚になる。水田、風と光、アオダモなど、外界や自然の恩恵を授かり、ともに暮らすための知恵が詰まった住まいだ。
専門家プロフィール
1980年 三重県伊勢市生まれ。2008年 修成建設専門学校第二本科卒業。06年~ 08年 吉澤建築設計室。08年~ 13年 株式会社ビーディホーム。13年 一級建築士事務所ヨネダ設計舎設立。
一級建築士事務所 ヨネダ設計舎
- 住所
- 三重県松阪市西野々町28・2
- TEL
- 0598・67・5948
- FAX
- 0598・67・5441
- tree-office@ms1.mctv.ne.jp
- URL
- www.yonedasekkeisha.com
〈物件名〉4+1HOUSE(木と棲む家)〈所在地〉三重県松阪市 〈居住者構成〉夫婦+子供2人〈用途地域〉市街化調整区域 〈建物規模〉地上3階建て〈主要構造〉1 階壁式鉄筋コンクリート造2・3階木造 〈敷地面積〉394.54㎡〈建築面積〉62.62㎡〈床面積〉1階 63.86㎡ 2 階 60.39㎡ 3 階 44.73㎡ 計168.98㎡〈建蔽率〉16.63%(許容 60%)〈容積率〉42.82%(許容 200%)〈設計〉ヨネダ設計舎〈構造設計〉吉澤建築設計室 〈施工〉ビーディホーム〈設計期間〉4年7ヶ月〈工事期間〉8ヶ月〈竣工〉2013年〈総工費〉2,500万円
※この記事はLiVES Vol.76に掲載されたものを転載しています。
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