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記事作成・更新日: 2015年12月28日

家の真ん中にあるアオダモの木。人と自然が混ざり合う暮らし

4+1HOUSE

水田に囲まれた三角屋根の一軒家。自然環境の恵みを取り入れ、
シンボルツリーを眺めながら、家族と木が一緒に成長していく。

text_ Yasuko Murata photograph_ Osamu Kurihara

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2階の動線上にある「ハンモック広場」。東側に面する大きな窓にはエキスパンドメタル。風が吹き抜ける半屋外的な居心地。

4+1HOUSE

設計・施工
ヨネダ設計舎
住人データ

雅樹さん(34歳)建築家、絵理さん(38歳)会社員、
長男(10歳)、次男(6歳)

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アオダモの木を1階から見上げる。新緑が芽吹き、順調に成長している。

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水田に囲まれた三角屋根の外観。遠くには松阪市の山々の稜線を見渡す。

家の中心にあるシンボルツリーは高さ7 .5mのアオダモ。屋根まで吹き抜けとなった空間にゆったりと枝を伸ばし、新緑の葉が生い茂っている。屋根には木に光や雨を届けるトップライトもある。

余白をたくさん設け、木が遠慮することなくのびのびと育っていく家にしたかったんです。木が成長していくごとに、子どもたちも育ち、暮らしと混ざり合っていくような空間をつくりたいと思いました。

そう話すのは三重県で建築家として活動する米田雅樹さん。奥さまと2人の息子さんとの4人家族で、9月には第3子が生まれる。

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アオダモの木を囲むように居住空間を配置。1 階の各室はガラスの引戸を閉めて、外と内を切り分けて個室化することもできる。

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三角形のロフト。ちょっとした空間が子どもの居場所に。

木の周りを囲むように、階段や廊下が3階まで続き、1階にキッチン、ダイニング、図書室、リビング、和室、2階に寝室と水まわり、3階に子ども室とアトリエなどを配置。2階の廊下には、木の下で本が読める第2の図書室もある。すべての空間から木を眺めることができ、1階の居室はガラスの引戸で仕切り、寝室やアトリエには室内窓を設け、木と空間をつないでいる。

引戸や窓を開ければ木と一体となった大空間となり、開放的に暮らすことができます。(雅樹さん)

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2階の廊下の壁を利用した図書室には、子どもたちのお気に入りの絵本などが並ぶ。

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2階の渡り廊下。アオダモの木が枝を広げ、アーチのように頭上に伸びる。

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2階の水まわりとクローゼットの間にある干場の窓もエキスパンドメタル。

さらに、この家の周囲は見渡す限りの水田で囲まれ、風がよく抜ける。外からの風を家の中に取り込むため、季節ごとの風向きを調べ、夏に吹く東南の風に合わせ、東側と南側に大きな開口部をつくり、エキスパンドメタルをはめ込んだ。

水田の上を通ってきた風は冷たく、室温を下げてくれます。外から入ってきた風が、アオダモの葉をサラサラとゆらし、抜けていく様子が涼しげで心地いい。夏はエアコンも必要ありません。(雅樹さん)

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3階にある雅樹さんのアトリエ。内壁は針葉樹合板。

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奥に見える小屋がアトリエ。光と雨を木に届けるため、トップライトは常時オープン。手すりのネットを越えて枝葉が伸びる。

1階は木が植わっている土をそのまま見せ、コンクリートタイルで囲っている。土の部分には、小さな草花が数株植わっている程度だ。

中庭ではなく室内っぽさを残したいので、木の周囲にグリーンを増やすより、家具を置くなどして、リビングのような空間にしていきたい。外と内が曖昧につながっている居心地が好きなんです。(雅樹さん)

1階から居室を見渡すと、ガラス戸のダイニングや小屋風のアトリエなどが、町に並ぶ小さな家のようにも見え、屋外にいる感覚になる。水田、風と光、アオダモなど、外界や自然の恩恵を授かり、ともに暮らすための知恵が詰まった住まいだ。

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2階通路から1階のダイニングを見下ろす。枝葉の緑越しに各居室の家族の気配が伝わる。

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1階はRC造、2階以上は木造。木の根元は土を露出させ、家具などを合わせリビング化。

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子ども室にはロフトも。

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1階の床は土間とコンクリートタイル。

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階段や廊下の鉄の手すりは、自然に錆を付けてからクリア塗装。

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浴室の窓はフレームレス。

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〈物件名〉4+1HOUSE(木と棲む家)〈所在地〉三重県松阪市 〈居住者構成〉夫婦+子供2人〈用途地域〉市街化調整区域 〈建物規模〉地上3階建て〈主要構造〉1 階壁式鉄筋コンクリート造2・3階木造 〈敷地面積〉394.54㎡〈建築面積〉62.62㎡〈床面積〉1階 63.86㎡ 2 階 60.39㎡ 3 階 44.73㎡ 計168.98㎡〈建蔽率〉16.63%(許容 60%)〈容積率〉42.82%(許容 200%)〈設計〉ヨネダ設計舎〈構造設計〉吉澤建築設計室 〈施工〉ビーディホーム〈設計期間〉4年7ヶ月〈工事期間〉8ヶ月〈竣工〉2013年〈総工費〉2,500万円


※この記事はLiVES Vol.76に掲載されたものを転載しています。
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