愛媛県松山市に建つ二世帯住宅です。松山では古くからある地域で住宅街ではあるのですが、今ではマンションと古い民家が混在する地域になりつつあります。敷地の東・北側はマンションが敷地いっぱいに建ち、生活のプライバシーを建築的に処理する必要があります。また二世帯住宅において、同じ空間に住んでいながら顔を会わすこともない住環境は不健康だと思いました。二つの家族のプライベートな生活のシーンは分けながら、人の気配、空気感を感じ合える状態が二世帯住宅の健康な状態と考え、そのような住宅空間を試みています。
この住宅は、光が満ちるヴォイドで二つの家族を結びつける住宅です。
まず、若夫婦は共に働いており親夫婦と生活のリズムが違うため玄関を二つ設けました。1階を親夫婦のスペース、2階を若夫婦のスペースとしてお互いの生活シーンが干渉しない構成としています。しかし、気配や空気感を互いに感じ、同じ空間の中で生活していることを意識出来る装置として、住宅に大きな吹抜けを挿入しています。この吹抜けには、この住宅を縦断する大きな木壁が二層の空間を縦断しています。この壁は大黒柱のように住宅、家族の中心として機能しています。この壁をフィルターとしてお互いの距離感を取りながら生活をしていくことが同じ空間の中で生活する二世帯住宅のあり方として適しているのではないかと考えます。また、高層ビルが北・東側に建っているため西・南側に居室を配置しています。採光と景観を確保するためです。南西には松山城を眺めることが出来ます。その各居室をつなげる廊下は吹抜けに接しており、天窓から光が降り注ぎます。吹抜けと階段室には隙があり、それぞれの空間を重層的に存在させ、次の空間の存在が視覚的にも身体的にも広がりの期待を喚起させます。様々な光の階調が白い壁に表情を与え生活シーンにリズムを加える機会になればと思います。
・玄関を分けた二世帯住宅
・吹き抜けで繋がる
・バスコート付きのお風呂
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