木造住宅を喫茶店兼ギャラリーに改修した仕事です。改修前の既存住宅は昭和後期に建てられた典型的な郊外型住宅でした。当然のことながら『喫茶店兼ギャラリー』に適した間取りではありません。ここではその平面形状を一切変更せずに、「植物画」を飾るための黒壁を室内各所に挿入しています。
この「植物画」という異物(既存住宅にしてみればずいぶん奇妙な来客です)が蜘蛛の巣のように家の隅々に寄生することで、平凡な間取りが複雑に重層化し、多元的な経験を生む社交の場に変容しています。(例えば押入れの中の植物画を鑑賞した後に、床ノ間の前に置かれた椅子に腰掛けておいしい珈琲を飲み、仏壇入れの中に飾られた植物画について友達とあれこれ談笑し、ふと、縁側の向こうの庭=植物を眺める、という風に)
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