大阪府堺市にある築42年新金岡団地一室の改修です。ほぼ廃墟と化したインフィルを全面撤去し、新婚夫妻のための新たな住まいを計画しました。施主は大量の荷物を持ち込む予定でしたが床面積は42平米程度しかなく、将来子供が加わる事を考えると十分な広さとは言えません。狭い部屋で大量の荷物と共に広く住まうこと、それが本計画の目標となりました。
従来スケルトン/インフィルと言う時に曖昧にされてきた『物・荷物』の扱い方に改めて注目しています。設計段階に発生する残余空間に物・荷物を事後的に押し込むと言う手法はとらず、室内全体を「整理整頓された大きな納戸」と捉え、物・荷物を整理整頓するための仕掛け『整頓箱』を多数分散配置しています。無数の整頓箱は各々高さ・幅・容量が異なり、ワンルーム空間を穏やかに分節しながら大量の物・荷物をそのそばに引き寄せます。便器・洗面器・電子ピアノ・キッチンカウンター等もその内部に飲み込み、上部は陳列スペースとしても活用できます。 物が溢れて困るのなら、収納場所を探さずとも整理整頓された納戸に住めばよいのです。
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