1.建物の特徴
この計画は、2011.3.11東日本大震災に背を押されて、耐震性に不安のあった旧園舎の建替工事です。
保育園からの要望は、旧園舎(切妻屋根)への愛着(吹抜の家のイメージ)があり、それを再現して歴史の継承(同じ場所、同じような形の吹抜けのある家)となる子供たちの家をつくって欲しいというものでした。
新しい園舎の1階は、大きな吹抜けのある保育室(2)を中心に3つの保育室が並び、2階に子育て支援の
多目的スペースや記念室、既存園舎と向き合う北側バルコニーとなっています。
新しい園舎には、切妻の銅板屋根と左官仕上げの塗り壁、部分的に無垢の木材が使われています。
また、雨天時でも幼児の遊び場となるように計画された広い幼児用昇降口と既存園舎間の渡り廊下の床は、
バリアフリーの木製デッキ床となっていて、室内と園庭とが一体となった園舎です。
建物外観としては、大きな銅板葺きの切り妻屋根、土塗り壁の外壁、南側に大きな開口部、木製手摺のあるバルコニー、既存園舎や保存樹木とのバランスなど周囲の景観にも配慮している。
敷地内には大きなプラタナスなどの保存樹木もあり、住宅地の中の緑豊かな新しい保育園舎となりました。
建物内部は、床暖房の木製床、無垢の杉板の腰壁と珪藻土の壁、掲示パネルを移動することで、3つの保育室が一体となる空間の仕掛けがあります。
また、南側に大きな開口部のある保育室(2)の吹抜空間には、インナーバルコニーのブリッジがあり、2階に使い勝手のより回廊動線をつくっています。
色調については、幼児のための住空間であるため、ベージュ・人肌・木の色=自然素材のもつ美しさを
尊重し、着色は極力押さえている。素材の持つ本来の色の移り変わりを時間と共に期待している。
2.設計のコンセプト
End userが幼児で、職員や保育士の多くが女性であることを原点に、設計者の目線を低くして設計にのぞみ、安全で使い易く、美しくデザインされた建物であるように計画しています。
(具体的には、床段差のないバリアフリー建物、北欧のデザインをイメージして計画し、これまでの
福祉施設やキリスト教教会建築の経験が生かされています。)
そして、主な管理者が女性であることから、手の届く範囲内に必要なものがあるべく、メンテナンスのしやすさも配慮して計画しています。
3.環境への配慮
使用材料については、木材などの自然素材とし、シックハウス等安全・安心面に配慮した。
また、屋根や外壁には断熱材を施し、開口部にはペアガラスを採用して熱の損失を抑え、建物全体の環境負荷軽減に対応し、冷暖房空調等へのランニングコストにも配慮している。
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