敷地は新潟県三条市北入蔵。大きな農家が解体され、開発された住宅分譲地の一角。
そこに夫婦2人、子供2人の4人が暮らす住宅を計画した。
求められた事は、
大きな本棚のある大きなワンルームと、本を落ち着いて読むことのできる多様な拠り所。
そしてとにかく「ぼーっとできる家」であること。
敷地には都市ガスの供給がないためオール電化住宅し、暖房は寒冷地用エコアン一台を床下に設置し、建物そのものを暖める輻射式暖房を採用。
それにより気流を身体に直接当てず、そして家の中の温度差を出来る限り無くす事を考えた。
新潟県の中でも特に冬の日照時間の少ないこの土地において、貴重な日射を最大限取り込むことで空調負荷を軽減することはもちろん、
それ以上に太陽による暖かさを体感できる家づくりを目指した。
そのために、南西面に大きな窓を設け、そこから入る日射熱が家の隅々まで届くように計画し、また窓の外には大きなオーニングを設置することで夏の日射対策とした。
大きな窓の内側にはベンチや勉強机、またはお雛様を飾るステージとなるような造作家具を設え子供達の拠り所とし、2階レベルでは窓辺に木製スノコを架け日向ぼっこの場所とした。
外側にはコンクリート製ベンチを設え、可愛いオーニングで日陰を作り、ご近所さんや子供達が気軽に腰をかけられる拠り所とした。
また北側には間口6mの水平大窓を設置し、そこの天井高さを抑え低く深い広縁空間として、南の陽に照らされる北庭を眺める拠り所とした。
大きな窓の内側はリビングから連続する少し篭った居場所として、また床が掘られカーペットが敷かれた絵本部屋として設え、
外側には室内の延長として天井高さが低く抑えられたスキップデッキテラスを設えた。
これらふたつの大きな窓を中心とした屋内外を跨ぐ「大きな部屋のようなふたつの窓辺」。
内外を行き来しながら、横断的に遊ぶ子供達、そして生活する家族の日常。
この大きなふたつの窓は日射獲得や庭を眺めるという機能を超えて、窓周りの設えとあわさり、
屋内と屋外を具体的に繋ぐ「大きな窓辺」として機能し、またそこでは多様な使い方や居心地が日々住み手により発見され実現されている。
クライアントから求められた「ぼーっとできる家」という曖昧ながら根源的な要望に対し「大きな窓辺」は十分に具体的に応えられており、
さらにはまだまだ沢山の発見に出会える可能性に満ちていると考えている。
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