<受賞>(掲載は結果発表順)
◆日本空間デザイン賞2022 銅賞
◆日本建築家協会 優秀建築選2022
◆グッドデザイン賞2022
◆日本建築士会連合会 建築作品賞(2022) 最終候補
岡山県津山市
条里(8世紀の土地区画整理)の痕跡が残り、碁盤目状に並ぶ道や水路が多く見られる地域です。計画地周辺は田畑や民家のほか、工業団地、大型商業施設などが混在しています。民間企業の社員寮として、個室(29室)、研修施設、余暇スペース(”車いじり”やプラモデルなどのためのスペース))などで構成されています。
全体から部分を計画するのではなく、コンパクトな空間や日々の生活に適したスケールを内外に散りばめ、それらを互いに関係づけた結果として全体が派生する、そのような社員寮の在り方を模索しています。多くの場所を一箇所に集約・散在させた上で、光庭を建物内側に深く貫入させることにより、内外の様々な風景や季節の移ろい、生活の営みが多層的に重なり合い関係づけられる場所をかたちづくっています。
通常は個室内で行わることの多い、調理や飲食、洗濯、趣味のアクティビティなどを他の入居者とシェアできるよう、2,3戸ごとに個室の外に別途セミプライベートな場所を配しています。キッチンや飲食スペース、各入寮者のための飾り棚、洗濯スペースなどが付随しています。プライバシーの観点から個室ではなく、かと言って空間サイズや動線上、完全な形での共用部でもない、用途上も廊下のようでもありくつろげる部屋のようでもある。個室の延長のような曖昧な場所です。この場所を介し日常生活が個室から共用部へ滲み出してゆく、そのような曖昧な隣人との距離感や、連続性を帯びながら延び広がる生活領域を意図しています。
<構造>
在来木造を採用しています。
建物外周部に配された個室部分で地震時の水平力を負担することにより、中央部において開放性の高い無柱空間(200㎡)を実現、最大8.1mのスパンを540mmの梁(集成材105×540)で架構しています。
<環境>
外構床を砂利敷とし、雨水を土壌に浸透、河川への負担を軽減させています。
植樹により周辺環境への景観的親和性に配慮するとともに、土地の保水力にも貢献しています。
<厨房配置>
セントラルキッチンを採用せず、小規模キッチンを個室近くに分散配置することで、調理という要素が日常の一部として生活の身近に感じられるよう計画しています。1階中央部 多目的室にて大人数の会食が行われる際は、2か所の共用部キッチンに加え、個室用キッチン2か所をサポートキッチンとすることで人数対応を行っています。
< データシート >
敷地:岡山県津山市
敷地面積:2730㎡
用途:社員寮(寄宿舎)
構造:在来木造 地上2階、地下0階
延床面積:1370㎡
竣工年:2019年10月
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