彫刻家である私の兄と両親のための二世帯住宅。既存の階段のあるアプローチを併設したアトリエ用として、親世帯には段差のないアプローチを新設した。二世帯住宅は将来を意識して設計することが非常に大事である。ある家族には最適な二世帯住宅も他人に渡れば特殊な住宅となりえる。つまり家族構成が変化し間取りが家族に適さない状態になった時に解体の運命を辿りかねない。建替えのサイクルが平均31年と短い日本では寿命でない住宅が解体されている。そこで「片瀬山の家」では二つの世帯とアトリエ、それぞれに玄関を設け独立させている。これは両親の年齢などを考慮していくと玄関、水廻りなど間取りの一部を共有するような2世帯住宅という家族形式が長くないと考え、各エリアの独立性を高め、家族が亡くなる、あるいは転出しても、他の家族が入って住めるような融通の利くプランとした。可能な限り解体されずにバトンタッチを繰り返せる家とした。「片瀬山の家」は私が生まれ育った住まいを解体し建てられた。残念ながら、築35年の以前の住まいは新しい家族形態に対応できませでした。「片瀬山の家」が世代や、家族構成の変化を超えて少しでも長く存続されることを願って設計した。
資料請求にあたっての注意事項