佐原の家

概要
3世代4人家族のための住宅である。

敷地の様子
敷地は街から少し離れた住宅用分譲地にある。周辺は田んぼが点在し、南西側のJR成田線の向こうには丘が見え眺めがよい。北側には利根川へ流れ込む水路の土手が見える。

計画
クライアントの要望は、?シンプルな外観、?広い2階リビング、?4つの個室、?4台分の駐車スペース、であった。そこで敷地北側の私道に駐車スペースを取り、シンプルな直方体のボリュームを南側の農道に寄せ、両隣の建物から均等にスペースを空ける配置とした。
通常の住宅の配置では、道路から少し距離を取って室内のプライバシーを確保しようとするが、この住宅では南側の農道に寄せた。理由は交通量が極めて少なく、2階リビングとした場合は田んぼが近くから見下ろせて眺めが良いからである。2階リビングの外のテラスは、大きな掃き出し窓を設けて開放的な空間を得るとともに、農道を隠して田んぼをリビングに取り込む役割を果たしている。
予算上、駐車スペース上、ボリュームの大きさは必然的に決まった。クライアントの細かな室と動線に関するの要望は、大量のダイアグラムを描きながらプランニングを進めるうちに、建物中央に階段を設置することでまとまった。しかし、そのままだと各室の通風が悪く、階段・ホールが暗い単なる通路となるため、それらをつなぐ開口部を積極的に設け、階段・ホールから各室の気配を感じられるようにして、建物全体の一体感が得られるように配慮した。又、2階リビングの利便性を高めるため玄関からの動線を極力短くし、ホールから2階への上り下りが楽なように階段の段数を減らした。荷物を持っている時や人とすれ違ったりした時のために階段の幅を広くした。1階個室群は2段レベルを下げてプライバシーゾーンを印象付けるとともに天井高を確保した。

兵藤善紀建築設計事務所

兵藤 善紀

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