敷地は、新設される南側の市道と既存の北側の道路に挟まれた東西に細長い三角形の形状である。夫婦二人が住むための居住スペースと、正月などに大人数が集まったときの広いスペースを求められた。
散居村の風景が残るこの地域において、建築のボリュームと形態が突出しないように、色彩とプロポーションを抑えた建築とした。
東西に長い敷地のため居住スペースを南面させ広い開口部を設けているが、新設される道路からの視線や、騒音を考慮する必要があった。北側の垂木構造を表した勾配天井のリビング空間と寝室に南向きのハイサイドライトを設け、空へ抜ける視線と通風・採光を確保している。また積雪の多い地域のため屋根雪は敷地背面の空地に落とし、アプローチには屋根のある広い空間を設けるとともにガレージ内からも住宅に入ることができるようにしている。車いす対応のトイレを寝室に隣接させ、廊下の幅もゆったりとしてバリアフリーにも考慮している。
リビング前面の縁側から連続する玄関ポーチが取り囲む前庭は、来客など外部の気配を建物内から感じられることができる空間となっている。