敷地は大分県北部に位置し、近隣には住宅、公共施設が点在しているが、まだ自然が多く残っている地域で北に山林を望むことのできるロケーションを有している、安岐町は国東市の中でも出生率が高く、高齢化が進む地方にあって希望の持てる地域で、当然図書館の利用者も子ども連れも多いのが特徴であり、近隣に小中学校も存在しているので、高齢者と若年者を繋げる施設と位置づけ、自然につつまれ本を読むことを中心とした行為で地域のコミュニケーションが図られるような図書館になるように試みた。
来訪者がまず目にする白い壁面、長いアプローチ、その先にある小さく開けられた進入口、それらは全て内部の開放感を増幅する為の装置として考えている、また、館内は図書館の用途を考慮し全て北側採光で柔らかな光で包み込まれるようにしており、「開放的なスペースであるが少し暗い部分で本を選び、天井の低い明るいが柔らかな落ち着くスペースで本を読む」という動線になっている。
日本の図書館のほとんどが管理上の観点から、飲食禁止になっているのだが、この施設は「家で読書に勤しんでもらいたい」という趣旨から飲食ができるように、司書の方々に要望をした、また北側にはコートが広がっており、天気のよい日などは外での閲覧が出来ることも可能である。
子どもらが裸足で北側コートを走り廻り、おかあさん、おとうさんがその気配を感じながら読書をし、おじいちゃんおばあちゃんが、ちいさな子どもを見て会話が弾み、小中学生がその横で宿題などをしている、そんな風景を創造しながら創った作品である。