敷地は世田谷区の国分寺崖線地域にあり都内では唯一の第1種風致地区にも指定されていいます。周辺はたぬきやかるがも、ほたるが生息し自然資源が残る環境にあり30°という急斜面地という特殊な環境に一目ぼれし建築家本人が即、土地を購入したのがきっかけです。都心の住宅において多くの住まい手は、密集した住宅地であるがゆえ、中に開くことによって豊かさを求める傾向にあります。近代技術を駆使し利便性と機能性を重視した住宅が主流といってもいいでしょう。この住宅はまったく逆に、決して便利ではないが自然環境を日常のくらしに取り込みライフスタイルやシークエンスの変化に呼応しながら創造力を誘発するすまい方に真の豊かさを求めています。
借景を活かし屋外アトリエとしても利用できる前庭空間。
富士山が望める最上階にあるエントランス前のアプローチデッキ。
階段という移動空間を利用したギャラリー。
森の中にたたずむデッキテラスや踊り場空間、などあえあて部屋形式とはせず、
レベル差を活かし周辺環境を最大限活用した多彩な場=居場所によって構成し
四季折々の自然樹木、光、風、空を体感し日常のくらしのなかから育まれるさまざまな創作活動を駆り立てるそんな住環境を目指しています。
傾斜地に建設する場合、造成工事をおこなった後に建築の施工となることから、自然のもつ景観が破壊され人工的な環境となってしまい、さらには平坦地に比べ建設コストが増大するというデメリットがあります。この住宅は高低差8m、30°という南側への急斜面地にでありながらRCのコアウォールを北側に設け土止めとして活用し、土厚と地震力を負担する構造計画と施工計画を採用することで造成工事をおこなうことなく、土地の有効活用とともに自然環境と調和した景観を創出しています。
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