計画地は北関東郊外でおおらかな土地に広い庭を構えた低層屋敷の点在する立地である。
建主からの要望は、おおらかであるがゆえに希薄になりがちなセキュリティに配慮すること、堅固な構造と家のどこにいても快適な環境の確保とバリアフリーであった。
ここでは、敷地外周と床面をRC造で固め堅固な構造と高いセキュリティを担保し、そのRC造の内側に高さの異なる平屋の空間ユニットと建物のどこにいても等しく快適な採光・通風環境が享受できる複数の中庭での構成を試みた。
平屋ユニットは地盤が脆弱であることから軽量化を図るためと断熱仕様のコントロールのし易さから木造とし、機能や空間の性質上求められる平断面寸法により決定された。
中庭はセキュリティやプライバシーが確保された中庭の持つ建物への効用(採光・通風・空間の連続性あるいは一体感)を効果的に取り入れるために、各平面ユニットとの境界面を増やすべく平面ユニットと市松状にレイアウトされた。
平屋ユニットと中庭の境界面には中庭の上記効用を季節の影響を大きく受けることなく達成するために、高性能(4重ガラス)の木製サッシが採用され、中間期には内外一体の空間利用を促す可動間仕切りでありながら、それ以外の季節では中庭からの熱負荷を最小限にする断熱効果の高いガラス壁となるよう性能に配慮された。
またその木製サッシハイトと合わせた高さで中庭の囲まれた壁面を杉板面およびそれと同材の型枠で打ち放したRC面で仕上げることにより複数の中庭に通底する統一感を与えつつ、床仕上げをその隣接する平屋ユニットの用途や空間特性に関連するように黒スレート、白クウォーツサイト、木デッキ、枕木、磁器タイル、焼き過ぎレンガ、人工芝、木レンガと全て変えることで、趣の異なる空間装置として建物内部へのたたずまいとしての働き掛けが意図された。
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