心地よい風が抜ける水田に面する見通しの良い場所に敷地はあります。
長年住んでいるこの地域との関係性を持続させていくことと、生活スタイルの異なる親子2世帯が適度な距離を保ちつつ共に暮らし理想的な関係性を育んでいくことを希望されておられました。
敷地近くでは道路拡張計画が進められており、豊かな田園風景とともに地域の人に愛されるだけではなく、ここを通り抜けるだけの人にも印象に残る地域のメルクマール(目印)となることを意識して計画しました。
印象的な外観は、内殻と外殻の2重構造になっており、夜になると孔が光で満たされ、明かりの少ない地域に安堵感を与え、灯台のように地域の目印の役割を果たしています。
また、大きな台風が発生する地域でもあり、外殻には防風ネットを設置することができるなど2重構造の形態は地域の風土から生まれたものでもあります。
内部は、みんなで過ごす「大きい空間」とプライベートな「小さな空間」がレベルを変えながら緩やかに繋がっています。ここに暮らす2家族は自由に空間を行き来し、それぞれの生活スタイルを形成していきます。
未来の変化に対応できる自由度の高い内部空間と、過去の経験や地域環境から生まれた2重構造によって構成された本計画は、大切な未来の地域風景を守り、変化する暮らし方を創造することができる家として計画されました。
「掲載誌」
東京の若手建築家とつくる家2
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