夫婦+子供2人のための住宅。北側が水路越しに小学校の桜並木に面しています。
環境との関係を尊重することで、そこに住む家族にとっては、その場所を選んだことがプラスとなり、地区にとっては、街並みへの貢献となる建築をつくろうとしました。
「環境との関係:桜のシーンの空間化」
桜の風景(=環境)と家族の生活を近づけるために、室内のどこにいても桜の姿が重なり合うように、さまざまなシーンをつくりました。
①1階廊下 高さ3.1mの大きな窓一杯に桜が映ります。室内とテラスの仕上を連続させ、屋外の並木道を歩くような近接した距離感で、桜を感じます。
②地階 ①の窓を下から見上げる形で、梢の濃い緑が、より高く、重量感を持って迫ります。
③廊下より半階上がった個室 全開すると幅7.3m×高さ0.6mの水平開口部を通して、細い緑の帯が見えます。全景は見えませんが、揺れる葉の様子や光の微妙な濃淡など、桜の部分の気配が強調されて、伝わります。
④2階居間 南北とも、間口6.6m×天井一杯2.4mの大きな窓を持ちます。室内とベランダの仕上を連続させたこと、両側に視線が抜け、風が通ること、天井に樹影が映り込むことで、室内にいながら、梢の中に浮かぶ感覚を味わえます。春には、花に包まれるような時間を体験できます。
⑤高さによる仕上の違い 地階は外断熱のコンクリート打放し、1階は板貼り、2階は白で仕上げています。階段を上下すると、階毎に仕上が切り替わります。
高さ方向の広がりを意識させる仕掛けであり、また、桜のシーンをそれぞれくっきりと浮かび上がらせる背景でもあります。
各階とも、風の流れに沿って南北の窓を配置し、1階には、通風の突出し戸も設けました。折戸により部屋を仕切ったり、開けたりできます。
春から秋は、桜並木の温度効果もあり、折戸を開けると、風が抜けて行きます。冬、折戸を閉じると、各部屋毎に暖房できるようになっています。
「環境との関係:景観的配慮」
鋼板張りの外壁は、板状加工のため、一見すると板張りに見えます。近隣の古くからの住宅街で見掛ける、板張り仕上をイメージしました。黒は、周りの家でよく使われる色であり、また、盛夏、桜の濃い樹影とつながる色として選びました。
新しくできる家が、地域の景観にとって、大きな負荷とならず、良好な住宅街の雰囲気に貢献するように配慮した結果です。
http://www.future-scape.co.jp/g200303works/g200303worksimage/g2003e15houseinkoganei/g2003e15houseinkoganei.html
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