船橋郊外の風景の中に,島のように浮かぶ「立体集落のようなアパートメント」です.
隣りの一戸建てと同じぐらいの敷地(19坪)に,S字型クランクの外階段に沿って,垂直に伸びる集落のように,それぞれが異なる'住んで楽しくなるような'7つの個性的な住戸を配しました.
石の写真は,このプランの発想の基になったポルトガル東部の黒鉄平石でできた山村"piodao"です.
外壁は,型枠打込木毛板によるやんわりの外断熱&光触媒塗装で「白さを保つ」ように心がけました.室内壁は調湿機能のある石灰クリームとして,RC特有の室内の湿気に配慮.総じて,耐久性やメンテナンス性に配慮しつつ,各住戸で玄関や窓,バルコニーを工夫して,入居率の下がり難い,息の長い賃貸となるよう総合的に計画しています.
・コンパクトな敷地だからこそ「角地と緩和」を最大限活用してます.
具体的には,地下緩和,ロフト緩和,屋外階段とバルコニーなどの‘3層重ね片持ち'です.これが集落のような印象的な外観を生み,容積率160%の条件下で7住戸,延べ面積144㎡(43坪)の床を実現してます.
・賃貸住戸だけどだからこそ,愛着をもって長く暮らしてほしいという思いから,異なる役割の窓を設えています.[A]自然な風が抜けるよう必ず二つ以上の引き違い窓を特に水廻りに設ける [B]眺めのいい様々な大きさのピクチャーウィンドゥを間取りに応じて設ける,など.快適で楽し気な「ベースづくり」にこだわっています.
・住戸のインテリアは少ない素材を吟味.壁は調湿機能のある石灰クリームでRC特有の湿気を除きつつボード壁よりナチュラルな質感です.床は無垢フローリングとモルタルの組合せ.キッチンとバスタブはオールステンレス製.ミニマムな間仕切りは強化ガラス.総じて,存在感のある材料の組合せで空間を引き締めつつ,耐久性やメンテナンス性に配慮しています.
・住まい手の個性を引き出すシンプリシティ.各住戸は,床壁天井とも味わいがありつつフォトジェニックなすっきりとした仕上げです.そこに住まい手が家具や小物で自分の色を付けていく「アレンジをもよおす感」をつくっています.
・企画はセンスのいい百戦錬磨のデベさんです.一般的な賃貸と一目で違う個性を発揮しつつ,長い目で見ても入居率を下げない魅力ある建築としての総合力が問われます.こうした共同住宅に求められる本質的なものは,間取りこそ異なっても快適で息の長い住宅と通底します.
・鉄筋コンクリート造地下一階地上三階+ロフトの坪単価を抑制.カウンターをコンクリートで一体的に作る,金物・家具の製作図を自分たちで描く,など見積りの成り立ちをとらまえ予算内としました.
・着工後に近隣の方から「3階建ては見下ろされている感じがするから2階建てにしてください」との要望が..再度ご説明しどうにか工事続行となりましたが,竣工したら「雰囲気が明るくなったわ」と喜んでくれました.
・角地はいろいろ工夫ができるので,より良いプランになる可能性があります.
・狭小地や変形地など一癖ある敷地でも,プランを入れ込んでみると意外に有効活用できたり,逆手にとって魅力に転じるケースもあります.そこは建築筋力の鍛錬が出ると思います.
外観はギャップがあり,最初に目に入る東側はヒョロっと縦長いシルエットで隣の戸建て?と思いきや,ぐるっとまわって南側から見ると,大きなファサードで共同住宅の顔に変わります.
地下1階から上へ「の」の字型の屋外階段は,角を曲がるたびに景色が変わります.最上階まで登るとどーんと眺望が広がり,わが家へ帰る,魅力的な「家路」を感じてもらえると思います.
室内は,ペラペラのボード壁ではなく全体がしっとりした左官仕上げ.何をおいても絵になります.小さな段差やいろいろな向きに開いた窓は,その住戸だけの眺めを切り取ります.
「立体集落」
現代的で明るい雰囲気ながら,自然発生的に時間をかけて生まれたような,面白みのある住まいの集合体になっているから.
ファジー工業のみなさん
ロウファットストラクチャーの横山太郎さん
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