鳥取県米子市に位置する敷地は賑やかな街の中心にある。敷地ぎりぎりまで迫った隣家に囲まれ、敷地の南側には10階建てのマンションが建ち、建替え以前は1年を通して室内は暗く湿気が多い家であった。 定年を迎えるご夫婦の要望は、「大勢の人が集まれる家」「リビングは明るく風通しの良い家」「自然を感じられる家」の3つ。施主の要望と周辺環境(比較的交通量の多い敷地前面道路等)を考慮してプランを検討していった結果、建物の床を1m持ち上げ中心に据えた長い筒状のリビング・ダイニングに大開口(5つに分割)を設けることで、周辺環境を取込み、光と風が通り抜ける湿気の篭らない建物となった。また筒状のリビング・ダイニングの長さを10mとする事で大勢の人が集まれるようにした。リビング・ダイニングのトップライトは夏の日差しをブラインドで調整しトップライトとブラインドの間に籠った熱を換気扇で排除させ室内の温度上昇を軽減。冬はトップライトのブラインドを開けることで降り注ぐ太陽を取り込んだ。トップライトからは季節によって異なる光が差し込み、空や雲の流れを眺める事が出来る。リビングの東西両サイドにある5つの開口については、生活時間・外部環境・季節に合わせて開ける箇所を選ぶ事で、外部からの視線・風量・光量を調整。 前面道路との間に大きな木を植える事で室内からの眺めだけでなく緑を介して街と繋げている。また各居室のそばに植栽を植えることでそれぞれの窓から樹木が見え、家の中に居ながらにして新緑や紅葉など季節の移ろいを感じる事が出来る。 すべての部屋を繋ぐリビングには求心性を持たせるため、明るくそして広く天井の高い空間とし、その反対に寝室などの個々のプライベート空間は、天井の高さを抑えて開口を制限し籠れる空間とした。 建物の仕上げには木材・漆喰等の自然素材を用いることで湿気が多かった環境の改善にも役立っている。
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