道路に面し斜めに切った壁が浮き立つ。壁の中は宅内へのアプローチとなる。斜め戸の扉を抜け屋内へ入ると螺旋階段と中庭に正対する。中庭には常緑樹のシマトネリコの木が青く浮かんでいる。この中庭は丁度一坪の大きさで、天井を穿ち空へと繋がり、雨や雪や雹、風が随時降り注ぐ空間である。同時に太陽光の入口でもある。シマトネリコはレフ板の役割を果たし、坪庭廻りの空間へ間接的に光を迂回させる。螺旋階段の先にワンルームの居間が待ち構える。居間には柱が抽象的に据えられた。また前述の迂回光も居間へと降り注がれる。抽象柱とシマトネリコが立つさまを居間から同時に眺められるように設定した。2階レベルでも外部テラスが付帯し、坪庭の空間とリンクして2坪の外部が空間が設けられている。箱の家の中ではたった一つのシマトネリコが、1Fレベルでは間接的なレフ光を回し込み、2Fレベルでは聳える枝が空間全体に浮遊感を与える。一つの木がもたらす躍動感を心地よく感じる。
資料請求にあたっての注意事項