敷地は幹線道路から一本入り、新興住宅地に位置する旗竿敷地である。旗竿敷地特有の奥まった静けさはあるものの、隣家やアパート、中学校(教室側)、駐車場に囲まれ、近隣の視線が行き交う場所である。
プライバシーを保ちつつ敷地全体に視界が広がること、プライバシーを保ちつつ居住スペースへ十分な光を取り入れること、敷地に密接しながら周辺と分離された住環境を模索した。
1階をLDKの広いワンルームとし、2階に個室群を配置し、大きくは縦に機能を積層・分節している。周辺状況に関係なく光を取入れるため屋根の大きな開口を1階まで光庭として連続させ、2階の個室群を光庭によって分節することで、1、2階に十分な光を取り込んでいる。光庭の2階部分には壁面に開口を与えることで通風と採光を高め、諸室がその奥にあることでプライバシーを保ちつつ光庭と諸室の性格を明確に分けている。
木製トラス構造によって建物全体を700mm持ち上げることで地窓を水平に連続させ、敷地全体に視線を広げると共に地面からの反射光を1階の広いワンルームに取入れている。大きな垂れ壁と2階のジグザクヴォリュームに囲まれた1階は十分な採光と通風を獲得しながら空間の奥としての性格を保っている。
密接と分離といった相反する操作によって空間として旗竿敷地の奥性を高め、閉じつつも開いた住環境を獲得している。
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