夫の営む大衆中華料理店(竣工時は未営業)、妻の営むヘアサロンと彼らの住宅。
相反する業態の店舗とプライベートな住宅が共存する与件において、1Fをそれぞれの店舗、2Fは住宅のプランとし、切妻の家型を2つに分け、中庭を設けることで、互いの店舗にほどよい距離感をもたせると共に、2Fの住宅部は視線を通すことでプライベートでは一体感をつくり、中庭を中心に全体がゆるやかにつながる空間をつくった。
中庭は1F店舗の単なるバッファーでなく、それぞれのお店のお客さまから地域の人まで開放されたコミュニケーションの場として機能する。
2Fはほぼ間仕切りのない、コの字型のひとつながりの空間であるが、東西で600mmの高低差を設けることで、子供が勉強に集中できるようリビングから子供部屋が少し見えるものの、子供部屋からはリビングは見えないなど、視線が直接的に交錯しない計画とした。
住居部分においても、居住者は互いの存在を感じるものの、ほどよい距離感を保ちつつ、ゆるやかにひとつにつながる。
また、南北で屋根勾配を反転させ、梁をかけることで、ダイナミックなコノイド曲面の天井をつくり、その下で家族がつどい、賑わえる、単純な操作で豊かな空間をつくった。
2棟建てのようで、互いがゆるやかにつながる「ニコイチ」の建築である。
2店舗(飲食店・美容室)併用住宅。
地域にひらかれたコミュケーションが生まれる中庭。
3次元曲面のねじれた天井。
冨祥工務店
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