切妻屋根に天窓を8連で設け、階段を中心に回遊性を持たせた平面をもつ計画である。市街地に立地する本計画は防犯とプライベート性の確保が求められ、同時に内部空間の開放性が要望された。市街地を歩くと道路面の窓のカーテンは閉め切られているケースが多く見られる。その窓の必要性に疑問符が付いたのは施主、設計者共同様の事だった。また、隣家が迫る立地条件において側面のみでの開放性確保が難しい事もあり、天井面と容積を操作した開放性を検討した。 天井面は、天窓以外の部分を2寸の屋根勾配なりの剛床として剛性を高めている。約9m×7mの平面からなる大空間は中心の現し柱と十字に伸びる現し梁のみで間仕切り壁の無い印象を実現している。構造的に見れば十字に伸びる現し梁は風圧に対する控えの要素としての役割が大きいが、梁の取り付け高さを変える事で平面的な空間用途分けの役割も担っている。低く取り付けた梁の北側は主にLDKとしたパブリックスペース、南側は子供室とトイレとしたプライベートスペースである。 2階の天井高は低い位置で3.5m、高い位置で4.4mの高さを確保している。通常、柱材として使用する木材は、管柱の場合3m材を使用する事が一般的だが本計画では4m材を使用している。材料の歩留まりの点から天井の高さ検討を始めたが、9m×7mの平面に対しプロポーションの相性が良い点も採用の理由の一つとなった。 1階は天井の高さを2.3mに抑え、壁天井の仕上げをグレー塗装とする事で意図的な閉塞感を生み出している。これにより2階の開放性をより引き立たせている。 天窓を軸とした容積確保とシンプルな印象を持たせた構造、階段を軸とした回遊性が生んだ遊び心ある空間である。
建物の中心に取り付けた8連の天窓。
静岡市の市街地に立地する住宅です。立地条件から防犯性を高める事や外部からの視線を遮りたい等の要望がありました。同時に、室内ではカーテン等を付けない開放的な暮らしがしたいとの要望がありました。遮る事と開放性の矛盾を解決するため、天窓と回遊出来る空間を提案しました。
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