東京都足立区の密集地に建つ住宅です。定年退職をしたばかりのご夫婦、お嬢さん、介護が必要なお母様が同居する[ 0.5+1+0.5 ]世帯の住宅です。周辺環境や家族構成、介護問題などさまざまな条件を前向きにとらえ、明るく気持ちのよい住宅が完成しました。
1 .ゆとりある住まい
路地、大屋根、引戸による間仕切りといった昔から日本の民家で使われてきた要素を用いて住まいの中にゆとりをつくりました。
2 .敷地内の路地
向かいの袋小路を延長するように敷地内に路地をつくり、自転車、植木鉢などが置ける生活をサポートする空間とするとともに、外部での視線や風の抜けをつくっています。
3 .さまざまな共有スペース
日常は家事スペース、来客時には客間となるスペース、家族みんなのライブラリー、介護スペースにもなるユーティリティなど、広間(リビング)とは別に家の中のさまざまな場所に共有空間をつくりました。気配を感じながらもそれぞれの場所でくつろいだり、家事や介護の作業をしたりします。また、それらの共有スペースの両側に窓を開け、自然に視線が抜けるようにしています。
4 .変化する設え
広間(リビング)、玄関、寝室と引戸で開け閉めできる和室「中の間」を家の中心につくり、親戚や来客の集まる日、介護サービスの日など将来にわたって予想される様々なシーンに対応できる間取りです。
5 .折れ形状を生かした大屋根
木造折板構造による柱のない大屋根を家の中のさまざまな場所から見ることができます。ダイナミックに折れ曲がった屋根のカタチは、外部では圧迫感を軽減し、内部では空間に広がりを生んでいます。
(写真:西川公朗)