収益計算や法規的条件から、単身者向け25㎡/戸×8戸の重層長屋が求められました。各戸がこのように小さな長屋では、玄関扉が過密に並ぶ異質な領域が生み出されてしまいます。この計画では以下のポイントによって領域性を緩和し、地域に溶け込んだ、快適な住空間を目指しました。
・建物外周を路地で囲み、人や光や風が敷地を通り抜けられるようにすること
・路地に面して玄関を分散配置することで住戸同士の距離を作り出すこと
・全ての住戸をメゾネットとし、水回りの集約したインフラ的1階とがらんどうの2階とすること
・1階と2階は斜めに接続させ、東西両側に設けた窓から取り込んだ光や風が住戸全体を通り抜けるようにすること
・1,2階共に造作家具によって窓辺に居場所を作り出し、路地に面した生活の気配を作り出すこと
・以上を単一の住戸タイプの噛み合わせで実現することで施工性・コスト・工期に配慮すること