地方に建つ住まいですが、西隣には2階にガラス張りの執務室のある企業社屋がこちらの敷地を見下ろし、南面の道路の反対側には2階建てのアパートや同じ並びにド派手な看板のある飲食店建物、東側は隣接する分譲地が未だ将来の予測が出来ないようなロケーションです。主屋の形状は西側の企業社屋からの視線を交わすためにL型にしています。又南面には大きく開きたいもののアパートの存在が邪魔をします。そのために主屋への日射を取り入れながらも視線は遠くの山へ延びるように高さを抑えた別棟の車庫を置き、その間にできたスペースを中庭にしています。こうすることで外の視線や見たくない景色を遮ることが出来、又中庭の存在が生活に、ゆとりや潤いを与えるために一役買います。一階は四つ間を踏襲したワンルーム空間となり家族がそれぞれが別のことをしていても一体感を生みます。2階には寝室と書斎、ファミリークロゼットを設けています。
地方に建つ住宅でありながら何故中庭にする必要があったのか?地方なら敷地にゆとりがあってのびのびと建てることが出来るのではないか?と思われがちですが、地方であっても敷地の周辺環境によって、このような住まいにする必要が生じる場合があります。中庭にした理由は前述した通りですが、住宅は敷地が置かれた環境によって、それぞれに違いがあって当然です。例えば、南面に大きな窓を設けたまでは良かったけれど広い道路に面する場合、その道路を行き来する人や車の存在が気になり結局カーテンを閉めたまま生活しないといけないようでは大きな窓の意味がなくなります。そうならないための知恵や工夫は、それぞれの環境によって違って当然です。決まりきったAパターン、Bパターンで家を考えるのは止めて完全にオリジナルな住まいづくりを目指しましょう。
有限会社あかい工房
山本造園