「注文住宅を建てたい!」と思ったときに、気になるのが予算です。しかし、希望の大きさの家を建てるのに、どのぐらいの予算が必要かはイメージができない方も多いかと思います。
ここでは、木造(木造軸組み工法/在来工法)に絞り、注文住宅を建てる際の参考になりそうな家を価格別にご紹介していきます。希望の大きさや部屋数がいくらの予算で叶うのか、参考にしてみてください。間取りのアイデアなどもぜひチェックしてくださいね。
1,500~2,000万円の建築事例
1,500~2,000万円の価格帯では、一般的には30坪程度かそれ以下の大きさの住宅になることが多いです。間取りは3LDKが中心ですが、土地の形状や大きさの関係で、面積が限られてしまっていることもあります。
土間の家
こちらの住宅は、周りを建物に囲まれた、30坪未満の3LDKです。
家の中心に天窓をもうけたことで、リビングに充分な光が届きます。また、間仕切りも少ないことから、明るく開放的な空間になっています。
2,000~2,500万円の建築事例
注文住宅を建てる場合には比較的多い価格帯です。30~35坪程度の家が建てられ、2階建ての住宅ですと3LDK~4LDKの間取りが多いです。
大田区 大岡山 WHITE HOUSE
近年人気がある2階リビングの約30坪の3LDKの木造住宅です。2階リビングは都市型住宅に多く、隣地との距離があまり取れない場合でも、日当たりのいい空間を手に入れることができます。
リビング・ダイニングは日中過ごす時間が長いので、家の中で一番日当たりのいいところに置くという間取りは、都市型住宅では頭に入れておいて損はありません。
世田谷区 瀬田 NAVY HOUSE 3
東京に建てられた、3階建ての4LDK、34.57坪の木造住宅です。こちらも2階リビングで、吹き抜けがあります。階段を独立させるのではなく、リビングにもうけていることで、さらに空間を広く感じることができます。
土間収納であるシュークローゼットがポイントで、たくさんの靴だけではなく、スキーやゴルフバッグも置けます。これは他の住宅でもぜひ参考にしていただきたい収納です。
2,500~3,000万円の建築事例
35坪~40坪程度の面積の住宅が多く、注文住宅の全国平均と同じ大きさになっています。間取りとしては4LDKが中心で、5LDKも可能です。多少広さに余裕があるので、部分的に共有すれば、2世帯住宅も可能です。
真っ白な塗り壁の家
LDK部分にぜいたくな吹き抜けをもうけた3LDKの木造住宅です。2階廊下と階段も吹き抜け部分とつながっているため、開放的で、家族とのつながりが感じられる空間になっています。また、スチールの手すりも白い内装にアクセントをつける役割も果たしています。
子育て世代・4人家族の家(30坪・2F建)
3LDKで、階段ホールにファミリーライブラリーをもうけた木造住宅です。ファミリーライブラリーとはいうものの、テレワークスペースやお子さんの勉強スペースなど、さまざまな使い方ができます。あえて個室にしないことで、家族全員が多目的に使えるスペースになっています。
3,000~3,500万円の建築事例
3LDK~5LDK程度の大きさの間取りが中心です。収納やテレワークスペース、多目的スペースなど、生活をしやすい工夫をしていることが多いです。2世帯住宅を建てたい人はこのぐらいの予算があると、親世帯、子世帯の分離がしやすいです。
立川の家
個室が5部屋と、それぞれの世帯にLDKと浴室がある、玄関共有型の二世帯住宅(木造)です。角地に建つ物件なので、外からの視線を遮りながら、明るさを確保する工夫をしています。玄関共有なので、世帯間のほどよい距離感を保ちながら、お互いの存在を感じることができる心地よい空間です。
ガレージのあるコートハウス
木造4LDKのコートハウス(壁に囲まれた中庭を持つ家)です。料理をするかたに人気の対面式キッチンと一体化したダイニングテーブルがあります。
注文住宅に造り付けの家具を作ることはそれほど多くはないですが、予算に余裕があれば、造り付けの収納とともに考えてみましょう。部屋の大きさにちょうどいい収納や家具は部屋をすっきり見せることができます。
3,500~4,000万円の建築事例
40~60坪程度で3LDK~6LDKの間取りが可能です。部屋数が少ない場合は、施主のこだわりが感じられる空間をもうけることが多いです。完全二世帯住宅も可能な価格帯です。
モスグリーンと木目のコントラスト住宅
40坪程度の3LDKの木造住宅は、LDK部分を吹き抜けにしたぜいたくな空間です。土間収納や食品やキッチン用品などを収納するパントリー、テレワークにも使えるユーティリティルームなど、空間を効率よく使っています。
リビングにつながった中庭のウッドデッキも家族が集う多目的な空間になっています。注文住宅の間取りを考える際には、部屋の数から考える方法もありますが、家族で、家でどんなことをしたいか、どうやって過ごしたいか、という目的について考えることも大切です。
細長変形地の二世帯コートハウス
東京の住宅密集地に建てられた2世帯住宅(木造)です。3方向を建物に囲まれた変形の立地でありますが、2階部分に外部空間(コート、デッキテラス)をもうけたことで、採光と風通しを確保することができました。
二世帯住宅ですが、完全分離の二世帯で、生活スタイルや生活の時間帯が異なってもお互いに住みやすい住宅になっています。
4,000~4,500万円の建築事例
広さに余裕があり、二世帯住宅だけではなく、シアタールームなどの趣味の空間や事務所兼住宅のように、別の用途の部屋をもうけることもできます。
飯野坂の二世帯住宅
5LDKの完全共有型の二世帯住宅(木造)です。将来的に孫世帯も一緒に住むことを考えて、それぞれの部屋は余裕が持った大きさになっています。完全共有型の二世帯住宅は子世帯が親世帯に子どもの面倒を見てもらいたいときや親の介護をしたいときにも便利です。
また、共有空間が多いことで、他の部屋を大きくとれる点もメリットです。実際、1階のLDKと畳コーナーは36.5畳の大きさになっています。
まとめ
価格別のモデルハウスについて紹介してきました。ぜひ予算や大きさ、間取りなどの参考にしてみてください。きっと新しい家への興味が強くなると思います。
文:渡辺藍(一級建築士・宅建士)