築12年のマンションの一室のリノベーション。
敷地は関東平野の中でも起伏に富んだ場所で小高い丘が連なっており、北東にはみなとみらいが一望できる。最上階の東側に位置するこの一室からは大きな空を望むことができ、陽光が程よく室内に降り注ぎ、丘からの気持ちのいい風が室内を通り抜ける。
リノベーションを計画するに当たり、光や風が充実している環境を生かすこと、キッチンから家全体が見渡せること、子供たちが楽しく過ごせること、ローコストであることが求められた。
キッチンや浴室等の水廻りが間口を狭めていて、薄暗く細長い廊下を形成し家全体を分断していることがわかる。これらの水廻りの向きを90度回転させることとした。これにより間口が大幅に広がり玄関側とリビング側に強いつながりが生まれた。
キッチンはルーフバルコニー側を向くことで家事動線が短くなるだけでなく、玄関から各部屋、リビングダイニングを見渡すことができ、コミュニケーションの向上に寄与している。北側の2室は主に寝る用途とすることと陽が奥まで届かないことから既存より奥行を浅くしコンパクトにした。
玄関は「うち」の真ん中に位置し奥まで視線が抜けてしまうが、壁を斜めに配置することで玄関からの視線は限定されて、カットオフされた場所は見ることができなくなる。そこに収納や家電等を配置すると玄関先の来客からは見ることはできない。しかし、奥に入り振り返ると「うち」全体を見渡すことができるという構成になっている。
これらをベースに子供たちが選んだ3色の壁に「うち」の形をした開口を設え、壁が緩やかに空間を規定しつつ、既存の梁型と組み合わせることで、リズミカルで遊び心ある「うちのうち」となった。
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